
プロからアマチュアまで高い人気を誇るシャフト「ツアーAD DI」。その性能を最大限に引き出すには、スイングタイプやスペックに応じた「合うヘッド」の選定が不可欠です。
本記事では、6Sや5Xの振動数、ヘッドスピードとの相性、飛距離性能、ベンタスとの違い、最新のシャフト分布図を基に、ツアーAD DIにマッチするヘッドを詳細に解説します。
記事の内容一覧
- 6Sヘッドスピード
- 合う人
- ベンタス
- 飛ばないのか?
- 似たシャフト
- ツアーADDI合うヘッド
- スライス
- シャフト分布図の最新
- 5Xの振動数
- ツアーADDI合うヘッドまとめ
目次
ツアーADDI合うヘッドを徹底分析!性能と相性の最新情報
ツアーAD DIシャフトは中調子設計で、しなり戻りが特徴的です。このシャフトの特徴を活かすには、ヘッドスピードやスイングテンポ、球筋傾向に応じたヘッド選びが重要です。本記事ではその相性や振動数、競合シャフトとの違いまで詳しく解説します。

6Sヘッドスピード
ツアーAD DI 6Sは、しなりの中に「間」を作り出す中調子の代表格です。その特性を活かすには、適正なヘッドスピードが必要不可欠です。推奨されるヘッドスピード帯は43〜47m/sです。この範囲であれば、しなり戻りとスイングテンポが一致し、最大限の飛距離と方向安定性が期待できます。
43m/s未満のプレーヤーが使用すると、シャフトが硬く感じられ、しなり戻りが不十分になることでインパクトでの当たり負けやスライスが出やすくなります。この場合は5Sまたは5Rにスペックダウンするのが現実的です。
一方で、45m/sを超えるヘッドスピードのプレーヤーが使用した場合には、6Sがやや軟らかく感じられることがあります。ただし、インパクトでのしなり戻りが速くなることで、ボールをつかまえやすくなり、ドロー傾向が強くなる場合もあります。しなりを利用して飛ばすタイプのゴルファーにはむしろ好相性です。
このように、6Sは中〜やや速めのヘッドスピード層にフィットする設計であり、ヘッド側とのバランス調整によって大きく性能が変わるモデルです。
合う人
ツアーAD DIが合うプレーヤーには、スイングタイプに一定の傾向があります。大きく分けると、切り返しに間を作るプレーヤーやフェースコントロール重視のゴルファーに適しています。
まず、切り返しで間を取れるプレーヤーは、シャフトのしなりを感じながらスイングできるため、AD DIの中調子特性を最大限に活かせます。特にダウンスイングで一瞬シャフトが「溜まる」感覚を求めるプレーヤーにとっては、最適な選択肢となるでしょう。
また、フェースを開閉しながらターンさせるプレーヤーにとっても、しなり戻りのタイミングが合うことで、フェース面のコントロール性が向上します。特にドロー系の球筋を好むゴルファーには、その捕まりすぎない自然な挙動がフィットします。
逆に、ダウンスイングで力強く一気に振り抜くプレーヤーや、切り返しが速すぎてシャフトの「間」を感じにくいタイプには、ベンタスTRブルーやテンセイホワイトのような先端剛性の高いシャフトの方がマッチしやすい傾向があります。
結論として、ツアーAD DIはスイングに「溜め」があるタイプやフェースを積極的に使う操作派のプレーヤーにとって最適なシャフトです。

ベンタス
ツアーAD DIとしばしば比較されるのが、フジクラのベンタスシリーズです。中でも**ベンタスブルー(Velocore搭載)**は、AD DIと同じく中調子系でありながら、全く異なる性格を持っています。
ベンタスブルーは、先端剛性が極めて高く、インパクト時のフェースのブレを抑えることで直進性を極限まで高めたシャフトです。スイングスピードが速く、打点ブレが気になるプレーヤーにとっては強い味方になります。
一方で、ツアーAD DIは中間部分のしなり感が明確で、シャフト全体が滑らかにしなることでリズムを取りやすい設計です。そのため、「シャフトを感じながら振りたい」プレーヤーや「切り返しでタメを作るタイプ」にはAD DIの方がフィットするケースが多いです。
両者の選び方としては、操作性やタイミング重視=AD DI、直進性と安定性重視=ベンタスという判断軸が有効です。
飛ばないのか?
ツアーAD DIは「飛ばないシャフト」と誤解されることがありますが、これはスイングタイプやヘッドとの相性によって印象が変わるためです。実際には飛距離性能も非常に高く、適正なスイングタイプと組み合わせることで、十分なキャリーとランを得ることができます。
この誤解の一因として、中調子特有の「しなり戻りの緩やかさ」があります。例えば、先調子シャフトのようにボールをつかまえて弾く感覚が強いシャフトと比較すると、AD DIはインパクト時の爆発的な初速感が控えめに感じることがあります。これが「飛ばない」との印象につながりがちです。
しかし、ヘッドスピードが43〜47m/sのゾーンで安定したスイングテンポを持つゴルファーが使用した場合、インパクト時の芯食い率が高まり、トータル飛距離はむしろ向上するという結果も見られます。特に、スピン量が適正化されることでキャリーとランのバランスが良くなり、最終的な飛距離に貢献します。
また、飛距離を出したい場合には、ヘッドとの組み合わせも非常に重要です。例えば、**低スピン系のヘッド(例:テーラーメイド ステルス2プラスやPING G430 LSTなど)**と組み合わせることで、AD DIのしなり戻りとヘッド挙動がマッチし、ボール初速と打出し角を最適化できます。
結論として、ツアーAD DIが飛ばないというのは一面的な評価であり、スイングタイプやマッチするヘッドによって、むしろ飛距離を伸ばすポテンシャルを持ったシャフトであると言えます。
似たシャフト
ツアーAD DIに似た特性を持つシャフトとしては、同じグラファイトデザイン社のツアーAD IZや、三菱ケミカルのディアマナTBシリーズが挙げられます。これらはAD DIと同様に「中調子系」の設計をベースにしながら、微妙に異なるしなり感や剛性配分を持っています。
ツアーAD IZは、AD DIよりもややしっかりとした中間部剛性を持っており、切り返しのタイミングでシャフトの挙動がよりシャープになります。スイングテンポが速めのゴルファーや、やや捕まりを抑えたい層にはIZが適していると言えるでしょう。
一方、ディアマナTBは、シャフト全体のしなり戻りが非常にスムーズで、操作性を求めるゴルファーに高評価を得ています。こちらはAD DIよりも先端剛性がやや抑えめで、インパクト時に球をつかまえやすい挙動になります。軽めのドローヒッターや、高弾道で攻めたいプレーヤーには、ディアマナTBも良い選択肢になります。
似ているからこそ、ツアーAD DIを試して「ややタイミングが合わない」と感じた場合には、これらのシャフトを比較試打することで、自身のスイングとのマッチングを明確にすることが可能です。
ツアーADDI合うヘッド
ツアーAD DIに合うヘッドとしては、以下のような条件を満たすモデルが推奨されます
具体的なモデル
- 中〜高慣性モーメント(MOI)で挙動が安定している
- 打出し角とスピン量をコントロールしやすい
- フェースの開閉が自然に行える重心設計
具体的なモデルとして評価が高いのは以下の通りです。
ヘッド名 | 特徴 | AD DIとの相性 |
---|---|---|
PING G430 LST | 低スピン、直進性重視 | ◯ 高ヘッドスピード層向け |
テーラーメイド ステルス2プラス | 弾き感強め、中弾道 | ◎ バランス良好 |
キャロウェイ パラダイム ◆◆◆ | 低スピン、操作性重視 | ◯ 上級者におすすめ |
タイトリスト TSR3 | フェースの反応が良く、操作性高い | ◎ タイミング取りやすい |
AD DIは、極端に重心距離が長いヘッドや、超軽量系ヘッドとの相性が悪くなる場合があります。そのため、ある程度ヘッドの重さや慣性モーメントがしっかりしているモデルとの組み合わせが、シャフトのしなり戻りを正確に活かす鍵となります。
AD DIの中調子特性は、フェースターンを自然に起こしやすくしてくれるため、捕まりすぎないモデルとのバランスが非常に良好です。ドロー系の強いプレーヤーであれば、やや捕まりを抑えたLST系ヘッド、フェードヒッターであればニュートラル〜捕まりの良いヘッドを組み合わせることで、理想的な弾道設計が可能になります。
スライス
ツアーAD DIは、中調子設計でシャフト全体が緩やかにしなるため、スライスの原因となる「フェースの開きっぱなし」を抑制する効果があります。特に、ヘッドスピードが43〜46m/s前後のゴルファーが、適切なタイミングでシャフトのしなり戻りを活かせれば、スライスを軽減できる可能性が高まります。
一方で、スライスが頻発するプレーヤーの中には、インパクト時にシャフトが戻り切らずフェースが開いた状態で当たっているという問題を抱えているケースがあります。これはシャフトが硬すぎたり、タイミングが合っていなかったりするのが原因です。
ツアーAD DIの場合、スライサーにありがちな「切り返しの急ぎ」や「アウトサイドイン軌道」を持つゴルファーが使用すると、タイミングがズレやすくスライスを助長してしまう可能性もあるため、注意が必要です。
ただし、AD DIは捕まりすぎずにフェースを安定させる特性があるため、クラブ軌道やフェース面の動きにある程度の自信があるプレーヤーであれば、スライス抑制に効果を発揮します。さらに、捕まりの良いヘッド(例:G430 MAXやパラダイムX)と組み合わせれば、自然なドロー弾道を実現できるケースも多くあります。
スライスに悩んでいる場合は、まずスイング軌道とインパクトロフトの確認を行い、それに応じてシャフトの硬さ(フレックス)や重さ、ヘッドの重心設計を調整することが解決の糸口になります。
シャフト分布図の最新
ゴルフシャフトの性能を視覚的に比較できる「シャフト分布図」は、クラブ選びの指標として非常に有用です。最新の分布図を見ると、ツアーAD DIは中間的な剛性とバランスの取れたしなり特性を持つ、やや操作性寄りの中調子シャフトに分類されています。
例えば、クラブフィッティングで採用される国内大手ショップ(ゴルフ5、つるや、ヴィクトリアなど)の最新分布図では、以下のような配置になります:
シャフト名 | 剛性位置 | タイプ | 特徴 |
---|---|---|---|
ツアーAD DI | 中〜中元調子 | 操作型 | タイミング重視 |
ベンタスブルー | 中元〜元調子 | 安定型 | 直進性重視 |
ディアマナTB | 中調子 | 柔軟型 | 高打ち出し系 |
スピーダーNXグリーン | 先中調子 | 捕まり型 | 弾道補正 |
分布図上では、AD DIはベンタスブルーより「やや操作性寄り」、IZよりは「やや柔軟」な領域に位置しており、中庸かつタイミング重視派のプレーヤー向けという明確な位置づけがなされています。
この情報をもとに自分のスイング傾向(軌道・タイミング・ヘッドスピード)と照らし合わせ、最適なシャフト選びの判断材料とするのがポイントです。特にAD DIは、極端な挙動を持たないバランス型シャフトとして、多くのスイングタイプに対応しやすい点も魅力です。
5Xの振動数
ツアーAD DIの5Xモデルは、重量が約55g台、トルク3.3前後で、しっかりした中調子の挙動を保ちつつ、軽量スピーダーからの移行やヘッドスピードがやや低めの上級者に支持されています。振動数については、一般的な市販長(45.25インチ前後)の装着時に**約265〜270cpm(cycles per minute)**が目安です。
この数値は、同じ重量帯の他社シャフト(例えばスピーダーNX 50X:約260cpm、ベンタスブルー5X:約275cpm)と比べて、やや高めでハリがある設計であることを示しています。
この振動数帯により、しっかり振っても暴れにくく、かつしなり戻りが速すぎないため、ミート率と方向性を両立させやすくなります。また、5Xは「振る力はあるが重いシャフトまでは不要」というプレーヤーが選択するのに最適なモデルです。
注意点としては、ヘッドの重さやスリーブ調整の影響により振動数は±5cpmほど変動するため、実際の装着後にはショップでの測定を推奨します。また、同じ5Xでもバット径(グリップエンドの太さ)によって振動数に差が出るため、リシャフト時には細かな調整も必要です。
ツアーADDI合うヘッドまとめ
ツアーAD DIは、しなり戻りにタイミングが合うゴルファーにとって、方向性・飛距離・操作性の三拍子がそろった完成度の高いシャフトです。最適な性能を引き出すには、以下のポイントが重要です:
- ヘッドスピード43〜47m/sのゾーンに適性
- 操作性やフェースコントロールを重視するタイプに好相性
- G430LST、TSR3、ステルス2プラスなどの低スピン・中慣性モデルとのマッチングが良好
- フェード・スライス抑制にも有効
- 5X/6Sの振動数も安定しておりフィッティングしやすい
ベンタスやIZといった競合シャフトと比較しても、中間的かつ扱いやすい特性を持っているため、シャフト選びに迷っている中上級者には一度は試してほしいモデルと言えます。
最後に、ヘッドとの組み合わせだけでなく、自分のスイングテンポや軌道との「マッチング」を見極めることが、ツアーAD DIを武器に変える最も重要なポイントです。