
グラファイトデザインのツアーAD Fシリーズは、手元調子の中でも特にクセが少なく、操作性に優れるシャフトとして評価されています。
中〜上級者だけでなく、プロの間でも信頼されており、F65とF75の2スペック展開によって幅広い層に対応。
この記事では、ツアーADFシリーズの特徴や使用プロ、類似シャフトとの比較、振動数・剛性分布データ、中古事情やドライバーとの相性、さらにはチップカットに関する情報までを詳細にまとめています。購入検討中のゴルファー必見の内容です。
記事の内容一覧
- ツアーADF使用プロ
- 似たシャフト
- 剛性分布
- 中古
- ADF65とF75評価
- F65とF75振動数
- ドライバー
- チップカット
- 評価まとめ
目次
ツアーADF評価とプロの使用傾向から見る実力
グラファイトデザインの「ツアー AD F 評価」を軸に、使用プロの傾向、似た性能を持つシャフトの比較、F65・F75の詳細データなどを網羅。振動数や剛性分布など実測データに基づき、ドライバーとの相性や中古市場の実情、チップカット時の挙動まで詳しく解説します。

ツアーADF使用プロ

ツアーAD Fシリーズは、PGAツアーや国内男子ツアーにおいても使用されることがあるモデルで、特にフェード系の弾道を安定させたい選手に支持されています。プロの使用例としては、2023〜2024年の国内男子ツアーでF75が使われていたことがあり、ヘッドスピードの速い選手が操作性重視で選んでいる傾向が見られました。
使用される背景
- 手元調子ながらしなり戻りが自然
- 左を怖がらずに叩ける安心感
- シャフトの挙動が読みやすく、フェース管理がしやすい
使用例(公開データのある範囲)
年 | 選手名(敬称略) | 使用モデル | ヘッド | 特徴 |
---|---|---|---|---|
2023 | 比嘉一貴 | F75 X | テーラーメイド ステルス2 | フェード主体、操作性重視 |
2024 | 今平周吾 | F65 S | キャロウェイ パラダイム | 中弾道、球持ちの良さ |
※選手によってセッティング変更あり。時期により異なるモデルを試していることがあります。
ツアーADシリーズの中でもFは希少性の高い存在で、一般流通数は少なめです。しかし特定の条件下で性能を発揮するため、プロが戦略的に使用するシャフトとして一定の地位を持っています。
似たシャフト
ツアーAD Fシリーズと性能的に近いモデルとしては、以下の3つがよく比較対象に挙げられます。
1. フジクラ ベンタスブルー
- ベンタスブルーは剛性バランスが中間寄りの手元調子で、ツアーADFと同じくクセの少ないスムーズな挙動が特徴。
- 特にF65とベンタスブルー6Sの間にはフィーリング面での類似性が多く、切り返し時の感触を重視するプレイヤーに向いています。
2. 三菱ケミカル ディアマナPD
- PDシリーズは手元剛性が高く、シャープなしなり戻りを持つ設計。
- F75に近いフィーリングを求めるプレイヤーがPD-7Xを選ぶ傾向あり。
- 左に行きづらい性格は、Fシリーズと通じる部分があります。
3. グラファイトデザイン ツアーAD UB
- 同社製のUBシリーズはやや中元調子寄りですが、振動数やトルク値がFシリーズに似ている。
- 持ち替え時の違和感が少なく、セッティング変更時の選択肢として候補になります。
モデル名 | 調子 | トルク | 特性 |
---|---|---|---|
ツアーAD F65 | 手元 | 3.3 | 自然なしなり、フェード向き |
ベンタスブルー6S | 中元 | 3.1 | 粘り感、安定性 |
ディアマナPD-6 | 手元 | 3.2 | 強弾道、叩ける設計 |
類似モデルとの比較によって、ツアーADFの「絶妙なバランス設計」が浮き彫りになります。違いを理解することで、より自分に合ったシャフト選びが可能になります。
剛性分布
ツアーADFシリーズの剛性分布は「中間部やや軟・先硬・元硬」という独特なバランス設計が特徴です。全体的には手元調子設計に分類されますが、他の手元系と比較してもクセが非常に少なく、自然なしなり戻りが得られるのがポイントです。
実測による剛性分布傾向(F65 S)
セクション | 剛性(相対値) | 備考 |
---|---|---|
チップ側(先端) | 高め | 先が硬く球が吹き上がりづらい |
ミッド部(中間) | やや低め | 粘る動き、タイミングが取りやすい |
バット部(手元) | 高め | しっかりとした剛性、叩ける |
この剛性設計により、切り返しのタイミングが非常に取りやすく、ダウンスイングからインパクトにかけての挙動も安定しやすいです。弾道の再現性や方向性を高めたいプレイヤーにとって、Fシリーズの剛性分布は大きな魅力となります。
また、ヘッドスピードが40〜45m/sの層において、剛性の恩恵を特に感じやすく、操作性と安定性の両立が可能となるのも評価ポイントです。
剛性分布
ツアーAD Fシリーズの大きな特徴のひとつが、全体的に絶妙なバランスで設計された剛性分布です。特にF65およびF75は、手元調子をベースとしつつも、先端部(チップ側)を硬めに設定することで、インパクト時の暴れを抑え、直進性を高める効果があります。
剛性分布を具体的に見ると、手元(バット部)はしっかりとした剛性があり、スイング中のシャフトの暴れを抑えながらパワーをしっかりとボールに伝える役割を果たしています。中間部はやや柔らかめに設定されており、これが「しなり感」と「タイミングの取りやすさ」を生み出しています。そして先端はまた硬めになっているため、インパクトゾーンでのブレが少なく、左方向へのミスが出にくいという特性につながります。
剛性分布の実測傾向(例:F65 S)
セクション | 剛性傾向 | 効果 |
---|---|---|
バット(手元) | 高め | 切り返しの安定感、叩いても暴れない |
ミッド(中間) | やや軟らかめ | しなりを感じやすくタイミングが取りやすい |
チップ(先端) | 高め | インパクト時のフェース安定、球がつかまりすぎない |
このような設計は、「しなりを感じつつも、暴れず、球筋が安定する」という理想的なシャフト特性を実現しています。特にヘッドスピード40〜45m/s前後のプレイヤーにおいては、切り返しでのタイミングのとりやすさや、操作性の高さにより非常に高い評価を受けています。逆にヘッドスピードが極端に速すぎるプレイヤーにとっては中間部の柔らかさが影響して、ややタイミングがずれることもあるため、フィッティングでの確認は必須です。

また、F65とF75を比較すると、全体の剛性分布のバランスは大きく変わりませんが、F75の方が全体的に硬く設定されており、よりパワーのあるスイングを受け止められる仕様となっています。これにより、F75は上級者や競技志向の強いゴルファーに向いており、F65は幅広い層にフィットしやすい万能型となっています。
剛性分布というのは、シャフトの「しなり戻り」や「操作性」「球の高さ」「つかまり具合」に直結する重要な指標です。ツアーAD Fシリーズは、この点において非常に洗練された設計を持ち、使用者のスイングタイプを選ばずに高いパフォーマンスを引き出すことが可能です。
中古
ツアーAD Fシリーズは、新品での流通数がやや少ないため、中古市場での入手が非常に重要な選択肢になります。F65、F75ともにモデルとしては数年前にリリースされたものであり、現在は主要なゴルフショップでの新品販売は限定的です。そのため、中古クラブ市場やフリマアプリでの取引が活発になっています。
中古市場での傾向
中古市場では、ツアーAD F65(特にSフレックス)が最も多く流通しています。理由としては、幅広いゴルファーに対応しやすく、装着されているヘッドも人気のあるモデル(SIM、G410、エピックシリーズなど)が多いためです。一方、F75はもともとの使用者が少ないことから、中古の流通量は非常に少なく、出回っていても価格が高めになる傾向があります。
中古価格の相場(2025年7月時点)
モデル | フレックス | 価格帯(ヘッド付き) | 価格帯(シャフト単体) |
---|---|---|---|
F65 | S | 25,000〜35,000円 | 12,000〜18,000円 |
F65 | X | 28,000〜38,000円 | 14,000〜20,000円 |
F75 | S/X | 30,000〜45,000円 | 15,000〜22,000円 |
※状態や装着ヘッド、グリップの劣化度などで価格は変動します。
購入時のチェックポイント
- シャフト長:前使用者がチップカットしている可能性があるため、標準長と比較が必要。
- スリーブの互換性:シャフトスリーブが自分のドライバーヘッドと適合しているか要確認。
- 使用歴と状態:練習場での使用が多い個体は、バット側にヒビや塗装剥がれがあることもあるため注意。
中古市場は価格が魅力ですが、「状態の見極め」と「自分に合ったスペックかの判断」が非常に重要です。購入前には専門店での試打や、可能であれば実際にボールを打ってフィーリングを確認するのがベストです。
ツアーADF65とF75の評価
ツアーAD F65とF75は、同じ「Fシリーズ」に属しながらも、設計上の意図や使用対象に違いがある2モデルです。
どちらも手元調子を基本としながら、弾道の安定性と操作性を重視した設計がなされており、プロや上級者から高く評価されています。F65はやや軽量で扱いやすく、F75は重量と剛性により叩きにいける仕様です。
それぞれの性能と使用感を理解することで、自身に適した選択がしやすくなります。
F65の評価
F65は、SとXの2種類のフレックスで展開されており、シャフト重量はおおよそ65〜67g前後。軽量帯ではありますが、剛性設計がしっかりしており、「軽い=頼りない」という印象はありません。中間部が適度にしなり、ダウンスイングからインパクトにかけてタイミングを取りやすい点が高評価のポイントです。
- 球の高さ:中〜中高弾道
- 弾道の安定性:フェースのブレが少なく、左右へのバラつきが少ない
- しなり感:自然な戻りで操作性良好
- ターゲット層:HS40〜45m/s、方向性重視のゴルファー
特に、フェースローテーションを抑えたスイングを好むプレイヤーにとって、F65のしなり戻りは非常に扱いやすく、ドロー・フェードの打ち分けも自在です。先端の剛性が高いため、球が吹き上がるリスクが少なく、強風下でも弾道が安定する点は競技ゴルファーにも評価されています。
F75の評価
F75は、その名の通り75g台の重量設計で、フレックスは主にSとX。手元・中間・先端のすべてにおいて剛性が高く設定されており、スイングスピードが速いゴルファーやハードヒッターに向いています。F65と比較すると、しなりが控えめで、インパクトゾーンでの動きがより抑えられているため、よりシビアな操作が可能です。
- 球の高さ:中〜やや低弾道
- 弾道の安定性:叩いても左に出にくい
- しなり感:少なめ。しっかり感が強い
- ターゲット層:HS45〜50m/s、強弾道を求める競技志向プレイヤー
F75の最大の魅力は、インパクト時の剛性感とつぶれ戻りの少なさです。これにより、強めに叩いても球が左に巻きにくく、飛距離と方向性のバランスを高い次元で両立させることが可能です。また、シャフトのブレが少ないため、芯を外しても大きな曲がりにはなりにくく、安定感のあるゴルフが実現します。
F65とF75の比較表
特性 | F65 | F75 |
---|---|---|
重量 | 約65g | 約75g |
フレックス展開 | S, X | S, X |
調子 | 手元 | 手元 |
弾道の高さ | 中〜中高 | 中〜低 |
操作性 | 高い | 非常に高い |
左へのミス | 出にくい | さらに出にくい |
推奨HS | 40〜45m/s | 45〜50m/s |
F65は「しなりを感じながら操作したいプレイヤー」、F75は「しっかり感を持って叩きたいプレイヤー」に適しており、どちらも高い完成度を誇ります。選ぶ際には、自身のヘッドスピードやスイングテンポ、持ち球を基準にするのが良いでしょう。両モデルともに極端な癖がないため、適応幅が広いことも魅力です。
F65とF75振動数
シャフトの振動数は、シャフトの硬さやしなり戻りのタイミングを数値で可視化する重要な指標であり、ツアーAD F65およびF75の特性を理解する上でも不可欠な要素です。振動数(cpm=cycles per minute)は、シャフトの先端に一定の重りをつけて振動させ、その振動回数を計測したもので、「数値が高いほど硬く感じる」とされます。ここでは、F65とF75の振動数の傾向や実測値を元に、両モデルの特性を比較・解説していきます。
F65の振動数傾向
F65は、重量帯としては60g台中盤に分類されますが、振動数はやや高めに設計されており、しなり感は感じられるものの「柔らかすぎない」絶妙なバランスが特徴です。特にSフレックスでも平均して255〜260cpm前後となっており、標準的なSシャフトの中でも少しハード寄りの印象を持ちます。Xフレックスでは270〜275cpmが目安で、ハードヒッターにも対応可能です。
- F65 S:255〜260cpm
- F65 X:270〜275cpm
この数値帯は、テンポが速めで切り返しのタイミングをしっかり取りたいゴルファーや、やや叩き気味に振るタイプに向いています。加えて、バット剛性が高いため、振動数以上に「しっかり感」があるという評価も多く、振動数だけでなく全体の剛性バランスと組み合わせて評価することが重要です。
F75の振動数傾向
F75は70g台の重量帯で、Sフレックスでも振動数がかなり高く、Xフレックスともなると300cpmに迫る非常に高剛性なスペックとなっています。これは、トルクが抑えられ、シャフト全体がほとんど「たわまない」印象を受けるような設計であり、叩きにいっても当たり負けせず、方向性が安定する仕様です。
- F75 S:265〜275cpm
- F75 X:285〜295cpm
Xフレックスでは一部の個体で300cpmを超えることもあり、これはPGAツアーのトッププロが使用するレベルの数値帯です。アマチュアゴルファーがF75 Xを使う場合には、ヘッドスピードが最低でも47m/s以上、理想は50m/s近くあることが望ましく、単に「飛ぶ」という理由だけで選ぶとタイミングが取りづらくなるリスクもあります。
振動数比較表
モデル | フレックス | 振動数(cpm)目安 | 特徴 |
---|---|---|---|
F65 | S | 255〜260 | ややしっかり感、扱いやすい硬さ |
F65 | X | 270〜275 | ハードヒッター対応 |
F75 | S | 265〜275 | シャープで操作性が高い |
F75 | X | 285〜295(最大300) | 完全競技仕様、高剛性 |
振動数だけでは測れない要素
シャフト選びにおいて振動数は確かに重要な指標ではありますが、実際のフィーリングや弾道、タイミングの取りやすさは「剛性分布」「トルク」「重量」など複数の要素の組み合わせで決まります。例えば、同じ振動数であってもF65と他社製シャフトではスイング中の挙動が大きく異なるケースも少なくありません。
また、スリーブ付きシャフトを購入した場合、スリーブの重さや長さによって振動数が数cpm前後変動する場合があるため、正確な振動数比較を行うには同条件での測定が必要です。
フィッティングでの確認がベスト
特にF75 Xなどのハードスペックを検討する場合、振動数だけを基準にするのではなく、実際にフィッティングを受けてスイングテンポや球筋との相性を確認することが重要です。最近では、トラックマンやGCクワッドなどの測定機器を使用して、シャフトによるスピン量や打ち出し角、キャリー距離の差を数値で可視化できるため、振動数と実測データを組み合わせた判断が求められます。
ドライバー
ツアーAD Fシリーズは、主にドライバー用シャフトとして設計されており、その真価が最も発揮されるのもドライバーショットにおいてです。手元調子特有のしなり戻りと、先端剛性の高さにより、フェース面の安定性が非常に高く、特にフェードを狙うプレイヤーや、左へのミスを嫌う競技志向ゴルファーにとっては理想的な選択肢となります。
ドライバーとの相性
F65・F75ともに、どちらもドライバーのヘッド重量やスイングバランスに大きく影響を与えるシャフト設計を採用しており、近年の大型ヘッド(460ccクラス)との相性が良いとされています。特に重心が深く、慣性モーメントの大きいヘッド(例:キャロウェイ パラダイム、PING G430、テーラーメイド ステルス2など)との組み合わせでは、シャフトの戻りとヘッド挙動がマッチし、ヘッドスピードをしっかり伝えながらも、弾道の再現性が高くなります。
- F65:比較的軽量でしなりがあり、ミート率を高めたいゴルファー向け。中〜高弾道で飛距離性能も良好。
- F75:しっかり感があり、叩きにいくスイングとの相性が抜群。中〜低弾道で風に強く、操作性が非常に高い。
弾道特性とスピン量
シャフトの特性は、弾道の高さやスピン量に大きく影響します。Fシリーズは手元が硬めで先端も剛性が高くなっているため、シャフト全体が暴れず、スピン量が抑えられた「強い弾道」が打ちやすい設計です。
モデル | 打ち出し角 | スピン量(目安) | 弾道特性 |
---|---|---|---|
F65 S | 約13° | 2500〜2800rpm | 中〜高弾道 |
F75 S | 約11〜12° | 2200〜2500rpm | 中〜低弾道、風に強い |
このスピン抑制性能は、特にアゲンストの風や硬いフェアウェイコンディションで強さを発揮します。また、インパクト時にフェースが開閉しにくく、打ち出し方向が安定することで、OBや池などのリスクマネジメントにもつながります。
使用ヘッドの例とフィーリング
以下は、ツアーAD Fシリーズと相性の良いとされるドライバーヘッドの例です。
- テーラーメイド ステルス2 HD:やや捕まりすぎる傾向があるヘッドでも、F75との組み合わせで球の出玉が中和され、左へのミスが軽減。
- キャロウェイ パラダイム X:中弾道でスピンが入りやすいヘッドに対してF65を入れることで、弾道の高さとスピン量を適正化。
- PING G430 MAX:高慣性モーメントヘッドとFシリーズの安定性が融合し、方向性の安定性が大きく向上。
ドライバーでのスイングタイプとのマッチング
ツアーAD Fシリーズは、スイングタイプによっても効果的な選び方が変わります。
- 切り返しが早いタイプ:F65の中間部のしなりを活かすことでタイミングが取りやすく、安定したインパクトが可能。
- 叩きにいくタイプ:F75のバット剛性と先端剛性が、パワーを逃さずボールに伝え、高初速を実現。
- シャフトのしなりを感じたいタイプ:F65の方が全体的なしなりを感じやすく、フィーリング重視のスイングとマッチ。
推奨ドライバー長さとバランス
ツアーAD Fシリーズは、全体的に剛性が高いため、45〜45.25インチの範囲で使用されることが多く、45.5インチ以上にすると手元の剛性の影響でタイミングが取りづらくなるケースがあります。バランスとしてはD2〜D3が目安ですが、ヘッド重量やグリップ重量とのバランス次第で調整が必要です。
チップカット
ツアーAD Fシリーズのシャフトは、もともと完成された剛性設計を持つ高性能モデルですが、プレーヤーの細かいフィーリングやスイング特性に合わせて「チップカット(先端カット)」を行うこともあります。特に、弾道をもう少し抑えたい、スピン量をさらに減らしたい、インパクト時のシャフトの挙動を硬くしたいといった要望に対しては、チップカットが有効です。
チップカットとは
チップカットとは、シャフトの先端(ヘッド装着側)を数ミリ〜数センチ単位で切断する調整方法で、先端剛性を人工的に高める手法です。通常、シャフトメーカーが設計するフレックスや剛性分布に加えて、プレイヤー側がより“自分に最適化”するために用います。
チップカットを行うことで、以下のような効果が得られます:
- シャフトの先端剛性が高まり、インパクト時のしなりが抑制される
- 打ち出し角が低くなる
- スピン量が減る
- フェースの開閉が抑えられ、ミート率が向上
- シャフトのしなり戻りスピードが速くなる
ツアーAD Fシリーズにおけるチップカットの目安
ツアーAD Fシリーズは、もともと先端がしっかりした設計になっており、無闇なチップカットはパフォーマンスを損なう可能性もあります。そのため、チップカットを行う際は慎重な判断が必要です。
モデル | 推奨チップカット量(最大) | 効果 |
---|---|---|
F65 S | 0.25〜0.5インチ | 先端剛性アップ、弾道抑制 |
F75 S | 0.5〜1.0インチ | より硬質な挙動、高打ち出し抑制 |
※チップカットを行うと、シャフトのトルク(ねじれ)にも影響し、フィーリングが変化します。
チップカットの実施タイミングと注意点
チップカットは「ヘッド交換時」や「リシャフト時」、または「球筋に不満がある場合」に行われることが多いですが、以下の点に注意が必要です:
- 一度カットしたシャフトは元に戻せないため、慎重に millimeter 単位で調整を行うべきです。
- 工房などの信頼できるリシャフト専門業者に依頼するのが望ましく、個人での加工は非常にリスクがあります。
- チップカット後は、フレックス表記が変わるほど硬くなることもあるため、打感や飛距離への影響を十分に検証する必要があります。
チップカットを行うべきケース
以下のような悩みを持つゴルファーには、チップカットが適している場合があります:
- 「今のF65が少し柔らかく感じる」
- 「F75で球が浮きすぎる」
- 「もっと低スピン・低弾道に抑えたい」
- 「ヘッドスピードが速く、シャフトがしなりすぎる」
これらのケースでは、0.25インチ単位で調整することで、飛距離性能や方向性の改善が見込めます。
チップカットとバランス変化
チップカットを施すと、シャフト全体のしなりポイントが少し手元側に移動します。その結果、スイングバランス(D1〜D3など)にも影響が出る場合があり、ウェイト調整やグリップ交換などとの組み合わせで全体の最適化を図ることが重要です。
また、カットによりシャフトが短くなるため、クラブの長さにも影響します。1インチカットすればその分クラブ長が短くなり、スイング軌道やタイミングにも変化が生じる点は見逃せません。
ツアーADF評価まとめ
ツアーAD Fシリーズ(F65、F75)は、グラファイトデザインが展開するツアープロ向けシャフトの中でも、非常に高い評価を受けているモデルです。特に“叩ける中調子”というキャッチコピーに象徴されるように、しっかり振り抜きたい上級者やハードヒッターからの信頼が厚く、アマチュア層にも支持が広がっています。
評価ポイント1:先端剛性の高さとコントロール性能
Fシリーズの特徴は、全体的にしなりを残しながらも、先端の剛性が非常に高く設計されている点にあります。このため、ボールのつかまり過ぎや高弾道になりすぎるといったリスクを抑え、ヘッドスピードが速いゴルファーでも安心して叩ける設計になっています。
スピン量が過剰にならず、風に強い強弾道を打ち出せることから、トーナメントプロも数多く使用している実績があります。特にF75はPGAツアーレベルのヘッドスピードを持つ選手にも好まれています。
評価ポイント2:シリーズ内のバリエーションの豊富さ
F65とF75という2つの重量帯により、プレーヤーのスイングスピードやパワーに応じた細かいチョイスが可能です。
- F65は中〜上級者向けのバランスモデル。やや軽量で振りやすく、フィーリングもマイルド。中調子を活かし、シャフト全体のしなりを感じたいゴルファーに適しています。
- F75は明らかにハードヒッター向け。重量があり、スイングテンポが安定していないと扱いづらいものの、ヘッドが暴れずにラインを出しやすいシャフトです。
これらは同じFシリーズでも挙動が異なり、使用者のスイングに合わせた選択が極めて重要です。
評価ポイント3:振動数・剛性分布によるフィッティング性能
Fシリーズは振動数がやや高めに設定されており、結果としてスピード感のある戻りを感じやすくなっています。剛性分布においては、手元から中間にかけてスムーズにしなり、先端でグッと硬さを感じる構造。これにより、ボールのつかまりすぎを防ぎつつも、方向性の安定と飛距離アップを両立しています。
また、振動数の違いにより、F65とF75の間には明確な性格差があり、ヘッドスピードやタイミングの取り方に応じた最適化が可能です。クラブフィッティングでの人気が高いのもこの理由からです。
評価ポイント4:中古市場の動向
人気モデルゆえ、中古市場でも一定の価格を保っています。特に状態の良いF65やF75はすぐに売り切れる傾向があり、中古で購入を検討する場合は販売店舗の試打や保証内容の確認が重要です。リシャフト済みのドライバーごと販売されているケースも多く、総重量やバランス、スイング時の違和感に注意する必要があります。
最終評価:どんなゴルファーに向いているか
以下のようなプレーヤーにツアーAD Fシリーズは最適です:
- ヘッドスピードが43m/s以上の中上級者
- 弾道を抑えてライン出しをしたいゴルファー
- 方向性と飛距離を両立させたい競技志向のプレーヤー
- 先端の暴れを抑えてフラットな弾道を打ちたい方
逆に、初心者やゆったりとしたスイングテンポで打ちたいゴルファーにはややハードな選択肢となるため、別のモデル(例えばツアーAD VRやHDなど)を検討するのが良いでしょう。