
ゴルフクラブの性能を左右する重要な要素の一つがシャフトです。特にテーラーメイドの純正シャフトとして採用されている「TENSEI BLUE TM60」は、多くのゴルファーから高い評価を得ています。
しかし、「TENSEI BLUE」「TENSEI BLACK」「TENSEI SILVER」「TENSEI RED」など、名前が似ていて違いがわかりにくいという声も少なくありません。この記事では、TENSEI BLUE TM60のスペックから、他カラーとの違い、重量、純正仕様の特徴まで、実際のデータをもとに詳しく解説します。
記事の内容一覧
- TENSEI BLUE TM60のスペック
- BLUEとBLACKとシルバーの違い
- TENSEI BLUE TM60どんなアイアンか
- テンセイのテーラーメイドの純正シャフト
- 重さ
- TENSEI RED TM60
- TENSEI BLUE TM60まとめ
目次
TENSEI BLUE TM60とは?スペックと特徴を徹底解析
TENSEI BLUE TM60は、テーラーメイドの純正シャフトとしてドライバーやフェアウェイウッドに採用されているモデルです。TENSEIシリーズの中でも中間的な弾道とスムーズな振り抜きを特徴としており、特にアマチュアゴルファーや中級者層に人気があります。本記事では、スペックや重量、他モデルとの違い、シャフトの設計思想などを紹介します。
TENSEI BLUE TM60のスペック
TENSEI BLUE TM60は、Mitsubishi Chemical(旧三菱レイヨン)が製造するTENSEIシリーズのひとつで、テーラーメイドの純正仕様として設計されています。
このモデルの特徴は、「中調子」設計による弾道の安定性とスムーズなリリースです。TENSEIシリーズの中で最もバランスが良く、ヘッドスピードが40m/s前後のゴルファーにも扱いやすいスペックとなっています。
項目 | 内容 |
---|---|
メーカー | 三菱ケミカル |
シリーズ | TENSEI BLUE TM60 |
フレックス | S / SR / R |
重量(S) | 約65g前後 |
トルク | 4.4 |
調子 | 中調子 |
対応ヘッド | テーラーメイド ドライバー/フェアウェイウッド純正 |
TENSEI BLUE TM60は、TENSEI CKやAV RAWシリーズとは異なり、「TM」表記が付くモデルはテーラーメイド専用設計であり、市販のカスタムシャフトとは内部構造や樹脂配合が異なります。特に純正版は、振り抜きやすさと安定性を両立するために、先端部の剛性をやや抑えた設計となっています。
中調子設計のメリット
中調子のシャフトは、スイングテンポが安定しやすく、タイミングが取りやすいのが特徴です。先調子のように高弾道になりすぎず、元調子のように低スピンにもなりすぎないため、ドライバーの打ち出し角を最適化しやすい傾向があります。そのため、TENSEI BLUE TM60はヘッドスピードが平均的なゴルファーが最も恩恵を受けやすいモデルです。
純正仕様の設計思想
テーラーメイド純正モデルのTENSEI BLUE TM60は、同社のSIM2、STEALTH、Qi10など複数のモデルに採用されています。Mitsubishi Chemicalと共同開発され、打感の安定性とスピン量のコントロール性を向上させるために、素材の層構成(マルチマテリアル構造)が最適化されています。
BLUEとBLACKとシルバーの違い
TENSEIシリーズには、BLUE、BLACK、SILVER、REDなど複数のカラーバリエーションが存在します。これらは単なるデザインの違いではなく、シャフトの特性や調子の違いを示すものです。TENSEI BLUE TM60を正しく理解するためには、シリーズ全体のバランスを知ることが重要です。
モデル名 | 調子 | 特徴 | 対象ゴルファー |
---|---|---|---|
TENSEI RED | 先調子 | 高弾道・つかまり重視 | ヘッドスピードが遅めの方 |
TENSEI BLUE | 中調子 | バランス重視・中弾道 | 一般的な中級者層 |
TENSEI SILVER | 元調子寄り | 低スピン・安定性重視 | ハードヒッター |
TENSEI BLACK | 元調子 | 低弾道・強弾道 | 上級者・ツアープロ向け |
BLUEの立ち位置
TENSEI BLUEは、シリーズの中核となる「中調子」モデルです。BLACKほど硬くなく、REDほど先が走らないため、弾道が安定しやすく、スピン量も適正範囲に収まります。これにより、飛距離と方向性のバランスを取りやすく、多くのプレイヤーにとって扱いやすい設計となっています。
BLACK・SILVERとの違い
BLACKやSILVERは低スピン・低弾道設計のため、ヘッドスピード45m/s以上の上級者やプロ志向のプレイヤーが多く使用します。一方、BLUEは一般的なヘッドスピード帯(40m/s前後)にマッチし、ミスヒット時でもスピン過多になりにくい構造が特徴です。
また、BLACKは「高弾性カーボン繊維」を多用し、硬さと反発力を強化していますが、BLUEはフィーリングを重視して「カーボンプリプレグ層」の配合比率を調整しています。
TENSEI BLUE TM60どんなアイアンか
TENSEI BLUE TM60は、ドライバー用だけでなく、同シリーズのアイアンシャフトにも採用されることがあるモデルです。ただし、一般的に「TENSEI BLUE TM60」という名称はドライバー・フェアウェイウッド用を指すことが多く、アイアン用としての正式モデルは「TENSEI AV BLUE」や「TENSEI PRO BLUE」などの名称で展開されています。ここでは、TENSEI BLUEの設計思想をもとに、どのような特性を持つアイアンシャフトかを客観的なデータを交えて解説します。
アイアン用TENSEI BLUEの特徴
TENSEI BLUE系アイアンシャフトは、「中調子設計」を基本にしたバランス型のシャフトで、スイング全体のテンポを一定に保ちやすいのが最大の特徴です。特に中級者から上級者にかけて、ショットの再現性を求めるプレイヤーに高い支持を得ています。
アイアンにおいてもドライバー同様に、ヘッドスピード40〜45m/s前後のゴルファーが最も適正レンジに入りやすい設計となっており、球の高さとスピン量が安定しやすい構造になっています。
項目 | 内容 |
---|---|
モデル名 | TENSEI BLUE(アイアン用) |
重量帯 | 70〜90g(スチール系より軽量) |
フレックス | R / S / X |
調子 | 中調子 |
特徴 | 高弾性カーボンによるスムーズな振り抜きと安定した弾道 |
このモデルは、三菱ケミカルが持つマルチマテリアル技術を用いて、カーボン繊維・レジン・金属メッシュなどを最適に積層する「TENSEI構造(伝承=TENSEI)」を採用しています。これにより、打感の一体感を損なわず、ミスヒット時の衝撃吸収性能も高いという特性を実現しています。
他社アイアンシャフトとの比較
同クラスのシャフトとしては、Fujikura MCIシリーズやNippon ShaftのRegio Formulaシリーズが挙げられます。これらと比較すると、TENSEI BLUEはややしなり戻りが早く、スイングテンポを崩しにくいという特徴があります。特に、テークバックでのしなり感とインパクトゾーンでの戻りが自然で、「押しながら振れる」感覚を得やすいことが多くのユーザーから評価されています。
シャフト名 | 特徴 | 弾道傾向 |
---|---|---|
TENSEI BLUE | 中調子・スムーズな戻り | 中弾道・安定性重視 |
MCI 80 | 元調子寄り・低スピン | 低めの弾道・操作性重視 |
Regio Formula B | 先中調子・やや走り系 | 高弾道・飛距離重視 |
このように、TENSEI BLUEアイアン用は“中庸”という言葉がふさわしく、飛距離とコントロール性能を両立するシャフトです。特に、打ち出し角が高くなりすぎず、縦距離のバラつきが抑えられる点が実戦でのメリットとなっています。
テーラーメイドとの関係性
テーラーメイドでは、ドライバー用に「TENSEI BLUE TM60」、アイアン用には「TENSEI BLUE 70」や「TENSEI AV SERIES」を純正・カスタム両方で採用しています。テーラーメイドのアイアン(特にSIM2 MAXやSTEALTHシリーズ)では、標準シャフトとしてカーボンのTENSEI BLUEが組み込まれており、軽量かつ安定したスイングを求めるゴルファーに適した仕様となっています。
実際の評価と使用感
実際のユーザー評価では、「振り抜きが軽く、手元のしなりが感じやすい」「インパクトでボールを押し込める感覚がある」といった声が多く見られます。一方で、強いハードヒッターにとっては、やや柔らかく感じる傾向もあります。そのため、ヘッドスピードが速いプレイヤーは、TENSEI SILVERやBLACKなどの元調子モデルを選択するケースもあります。
総評
TENSEI BLUE TM60(および同系統のアイアンシャフト)は、スイングの再現性を重視しつつ、安定したミート率をサポートする万能型のシャフトです。特に、これからカーボンアイアンシャフトに移行したい中級者にとって最適な選択肢の一つと言えるでしょう。
テンセイのテーラーメイドの純正シャフト

テーラーメイドと三菱ケミカルの関係は長年にわたって続いており、特に「TENSEI(テンセイ)」シリーズは、テーラーメイドの純正シャフトとして多くのクラブに採用されています。TENSEIは日本語で「転生(伝承)」を意味し、三菱ケミカルが持つ複合素材技術を駆使して誕生したシリーズです。テーラーメイドのドライバーやフェアウェイウッドでは、「TENSEI BLUE TM50」「TENSEI BLUE TM60」「TENSEI RED TM60」などが純正として搭載されており、幅広いゴルファーにフィットする設計になっています。
純正TENSEIとカスタムTENSEIの違い
まず理解すべきは、「純正TENSEI」と「カスタムTENSEI」は同じ名称でも中身が異なる点です。テーラーメイド純正版のTENSEIシャフトには、「TM(TaylorMade)」という表記が付き、これが専用設計を意味します。たとえば、TENSEI BLUE TM60は、三菱ケミカルがテーラーメイドのために製造したモデルであり、カスタム市場で販売されている「TENSEI CK BLUE」や「TENSEI AV RAW BLUE」とはスペック構成が異なります。
項目 | 純正TENSEI BLUE TM60 | カスタムTENSEI AV RAW BLUE |
---|---|---|
製造 | テーラーメイド専用設計 | 市販カスタム向け |
重量(S) | 約65g | 約67g |
トルク | やや高め(4.4前後) | 低め(3.9前後) |
振動数 | 約245cpm前後 | 約260cpm前後 |
調子 | 中調子 | 中元調子 |
打感 | 軽めでしなやか | 張り感が強い |
純正モデルは、クラブ全体のバランスをとるために「軽量・柔軟・打ち出しやすい」方向に設計されています。一方、カスタムTENSEIはハードヒッター向けに低スピン・低弾道化を意識しているため、硬さがありスピン量が抑えられる特徴があります。
テーラーメイドの採用歴
テーラーメイドは、2019年の「M5/M6」シリーズ以降、TENSEIを純正シャフトとして継続採用しています。主な搭載モデルは以下の通りです。
クラブモデル | 搭載純正TENSEIシャフト |
---|---|
M6 / M5 | TENSEI BLUE TM50・TM60 |
SIM / SIM MAX | TENSEI BLUE TM50 |
STEALTH / STEALTH2 | TENSEI RED TM50 / BLUE TM60 |
Qi10 / Qi10 MAX | TENSEI BLUE TM60・RED TM50 |
このように、テーラーメイドではプレーヤーのスイング傾向に合わせて、TENSEIシリーズを段階的に配置しています。
・ヘッドスピードが速く強弾道を打ちたい人には「BLACK」系
・中間的なプレイヤーには「BLUE」系
・ボールを上げたい人には「RED」系
という明確な役割分担があります。
TENSEIの素材技術とテーラーメイド設計思想
TENSEIシリーズは、三菱ケミカルが航空宇宙産業で使用する高弾性カーボン繊維や、アルミニウムメッシュ、エラストマー樹脂などを組み合わせて構成されています。テーラーメイド純正版では、これらの素材をゴルファーが扱いやすいよう再調整し、スイング中のトルク挙動がスムーズになるように設計されています。
具体的には、テーラーメイドのヘッド構造(特に高慣性モーメント設計のQi10シリーズなど)とのマッチングを考慮し、「手元がややしなって先端が暴れにくい」バランスを採用しています。この設計によって、スライスを軽減しつつも、弾道の高さとキャリーを確保できるようになっています。
純正TENSEIのメリットとデメリット
- メリット
・クラブ全体の重量バランスがとれており、スイングテンポが安定しやすい。
・標準仕様のためコストパフォーマンスが高い。
・中弾道・適正スピン量で、多くのアマチュアに合いやすい。 - デメリット
・カスタム版に比べてトルクが大きく、強振すると挙動が安定しない場合がある。
・軽量設計のため、パワーヒッターにはやや柔らかく感じることがある。
総合評価
TENSEI BLUE TM60をはじめとする純正テンセイシリーズは、テーラーメイドが提案する「幅広い層に合う最適設計シャフト」として位置付けられています。三菱ケミカルの技術をベースにしつつ、ヘッド特性とスイング特性の両面から最適化された設計は、純正でありながら高い完成度を誇ります。
実際、STEALTHシリーズやQi10シリーズを使用する多くのアマチュアゴルファーが、純正TENSEIで十分な飛距離と安定性を得ており、カスタム不要と評価するケースも少なくありません。
重さ
TENSEI BLUE TM60の「60」という数字は、シャフトの重量帯を示しています。一般的にTENSEIシリーズでは、数字部分がシャフト重量(グラム単位)のおおよその目安となっており、TENSEI BLUE TM60は60グラム台のミドルウエイトシャフトとして分類されます。実際の重量はフレックスによってわずかに異なり、Rフレックスで約63g、SRで約64g、Sで約65〜67g前後という数値が多くの計測結果で確認されています。
フレックス | 公称重量(g) | トルク | 振動数(cpm) | 弾道傾向 |
---|---|---|---|---|
R | 約63 | 4.6 | 約235 | やや高弾道 |
SR | 約64 | 4.5 | 約240 | 中弾道 |
S | 約66 | 4.4 | 約245 | 中〜やや低弾道 |
この重量帯は、**アマチュアゴルファーの平均的なヘッドスピード(40〜43m/s)**に最もマッチする設計であり、軽すぎず重すぎないバランスが特長です。軽量モデルのTENSEI RED TM50(50g台)に比べると安定感が高く、振り抜きやすさと安定性の両立を狙った絶妙な重量設定となっています。
重量の違いがスイングに与える影響
シャフト重量は、スイングテンポ・ヘッドスピード・ミート率に直接影響を及ぼす要素です。軽量シャフト(50g台以下)はスイングスピードを上げやすい一方で、軌道が不安定になりやすく、方向性を損なうリスクがあります。逆に重めのシャフト(70g以上)は安定性が高い反面、スイング負荷が大きくなり、飛距離を損なうこともあります。
TENSEI BLUE TM60の65g前後という重量はその中間に位置し、ヘッドの動きを感じながらテンポ良くスイングできる重量バランスです。特に中調子設計との組み合わせによって、シャフト全体が「しなり戻る感覚」を自然に感じやすく、リズムが整いやすいのが特徴です。
同シリーズとの重量比較
TENSEIシリーズの中では、BLUEが最も汎用性の高い重量帯です。下記の表に示すように、RED、BLUE、SILVER、BLACKと進むにつれて重量が増し、より強弾道・低スピンの特性が強くなります。
モデル | 平均重量(Sフレックス) | 調子 | 特徴 |
---|---|---|---|
TENSEI RED TM50 | 約55g | 先調子 | 高弾道・つかまり重視 |
TENSEI BLUE TM60 | 約65g | 中調子 | バランス型・安定性 |
TENSEI SILVER TM70 | 約72g | 中元調子 | 低スピン・強弾道 |
TENSEI BLACK TM80 | 約78g | 元調子 | 強弾道・操作性重視 |
このラインナップの中で、BLUE TM60は「軽量すぎず扱いやすい中間点」に位置し、クラブ全体の総重量を安定させやすいのが特徴です。ドライバーで45インチ装着時の総重量は約305〜315g前後となり、これは多くの市販ドライバーの標準仕様に近い数値です。
実際の装着感と評価
多くのアマチュアゴルファーがTENSEI BLUE TM60を選ぶ理由の一つが、「重さのバランス感」です。スイング中にヘッドの位置を感じ取りやすく、振り遅れや引っかけが減るという評価が多く寄せられています。また、重量が適度にあることでヘッドの慣性を利用した自然なフェースターンが生まれ、安定したインパクトゾーンを作りやすい点も評価されています。
一方で、力強いスイングをする上級者にとっては、もう少し重量が欲しいと感じるケースもあり、そうしたプレイヤーはTENSEI SILVERやBLACKへのステップアップを検討する傾向があります。
総合まとめ
TENSEI BLUE TM60の重量は、アマチュアゴルファーにとって理想的な中間ゾーンです。軽量すぎず重すぎず、スイング全体のテンポを崩さない設計が多くのユーザーに支持されています。特に、ドライバーを軽量化しすぎて方向性が悪化した経験のあるプレイヤーには、TENSEI BLUE TM60の65g前後という重さが絶妙に感じられるでしょう。
「扱いやすさ」「安定性」「振り心地」の三拍子を兼ね備えた重量設計は、まさにTENSEI BLUE TM60が長年選ばれ続けている理由の一つです。
TENSEI RED TM60
TENSEI RED TM60は、三菱ケミカルが製造し、テーラーメイドの純正シャフトとして採用されているモデルの一つです。TENSEIシリーズの中では「先調子」に分類され、TENSEI BLUE TM60よりもボールを高く打ち出しやすく、つかまり性能が高いことが特徴です。テーラーメイドのSTEALTH、Qi10、SIM MAXなど、幅広いモデルに標準装着されており、ヘッドスピードがやや遅めのゴルファーや、ドローボールを打ちたいプレイヤーに適したシャフトといえます。
TENSEI RED TM60の基本スペック
TENSEI RED TM60は「60」の名の通り、重量帯は60g前後で、TENSEI BLUE TM60とほぼ同等です。しかし設計の目的が異なるため、同じ重量帯でも振り心地や弾道特性は明確に異なります。
項目 | 内容 |
---|---|
メーカー | 三菱ケミカル(Mitsubishi Chemical) |
モデル名 | TENSEI RED TM60 |
フレックス | R / SR / S |
重量(S) | 約64〜66g |
トルク | 4.5〜4.7 |
調子 | 先調子 |
対応ヘッド | テーラーメイド ドライバー・FW純正 |
弾道特性 | 高弾道・つかまりやすい |
このモデルは、テーラーメイドの標準クラブに広く採用されており、特に「STEALTH HD」「Qi10 MAX」などの“高弾道・やさしさ”をテーマにしたモデルとの相性が非常に高いです。
BLUEとの設計思想の違い
TENSEI BLUE TM60とRED TM60の最も大きな違いは、しなりの位置(調子)と先端剛性です。
RED TM60は先端がよく動く「先調子」設計であり、インパクト直前にヘッドが自然に返りやすく、ボールをつかまえる動きが強調されます。これにより、スライス傾向のゴルファーでもフェースをスクエアに戻しやすく、高弾道でつかまりの良いショットを打つことができます。
比較項目 | TENSEI BLUE TM60 | TENSEI RED TM60 |
---|---|---|
調子 | 中調子 | 先調子 |
弾道 | 中〜中高弾道 | 高弾道 |
スピン量 | 中程度 | やや多め |
つかまり | 標準 | 強め |
適正プレイヤー | ヘッドスピード40〜45m/s | 35〜42m/s |
スイングタイプ | フラット軌道〜中弾道 | スライサー・打ち出し角が低い人 |
この比較からも分かるように、TENSEI RED TM60は特にボールが上がりにくいゴルファーや右方向へのミスが多い人に最適です。フェースの返りがスムーズで、ドライバーショットの打ち出し角を高めたいプレイヤーに適しています。
振り心地と実際の弾道傾向
先調子特有の「ヘッドが走る感覚」があり、少ない力でもヘッドスピードを稼ぎやすいのがTENSEI RED TM60の魅力です。軽快な振り抜きと弾き感の強さにより、キャリーを稼ぎやすく、打ち出し角が平均で2〜3度高くなるケースもあります。
また、トルク値(4.5〜4.7)がやや高めに設定されているため、しなり戻りが滑らかで、打感がソフトに感じられる傾向があります。
ただし、この柔らかさが「タイミングを取りにくい」と感じる上級者もおり、強く叩くタイプのプレイヤーでは左へのミス(引っかけ)が出やすくなる場合もあります。そのため、**スインガータイプ(体全体で振る)**のゴルファーにより適したモデルといえます。
TENSEI RED TM60が採用される代表的クラブ
テーラーメイドの純正として採用されている代表的モデルは以下の通りです。
クラブ名 | 搭載シャフト |
---|---|
STEALTH 2 HD ドライバー | TENSEI RED TM60 |
Qi10 MAX ドライバー | TENSEI RED TM60 |
SIM2 MAX D ドライバー | TENSEI RED TM60 |
これらのクラブはいずれも“やさしさ”“つかまり”“高弾道”をコンセプトにしており、RED TM60との設計思想が完全に一致しています。
総評
TENSEI RED TM60は、シリーズの中でも特に「やさしさ」を追求したモデルです。中調子のBLUEに比べ、ヘッドが走りやすく、軽い力でもボールをしっかり上げられる性能が魅力です。スライス傾向を抑えたいアベレージゴルファーにとっては理想的なシャフトといえるでしょう。逆に、弾道を低く抑えたい上級者には、BLUEまたはSILVERへの変更が推奨されます。
つまり、TENSEI RED TM60は“打ちやすさとつかまり”を重視した純正設計の完成形であり、多くのアマチュアにとって最も恩恵を感じやすいモデルです。
TENSEIBLUETM60まとめ
TENSEI BLUE TM60は、三菱ケミカルが誇るTENSEIシリーズの中核を担うモデルであり、「安定感」「中弾道」「心地よいしなり」という3点が絶妙にバランスされたシャフトです。テーラーメイドの純正として長年採用されており、スイングタイプを問わず多くのゴルファーが扱いやすい設計になっています。ここでは、RED・BLACKとの比較や適正プレイヤー、実際の使用感から見た総合評価をまとめます。
BLUE TM60の位置づけ
TENSEIシリーズの中で、BLUEは「中調子」に設定されたオールラウンドモデルです。REDは先調子でつかまり重視、BLACKは元調子で低スピン・低弾道を狙うタイプであるのに対し、BLUEはその中間に位置し、操作性と安定性の両立をテーマとしています。そのため、純正シャフトの中でもっとも多くのゴルファーに適合する設計となっています。
モデル | 調子 | 弾道傾向 | スピン量 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
TENSEI RED TM60 | 先調子 | 高弾道 | やや多め | つかまり重視、軽い力で上がる |
TENSEI BLUE TM60 | 中調子 | 中弾道 | 標準 | 安定性と操作性のバランス型 |
TENSEI BLACK TM50/70 | 元調子 | 低弾道 | 少なめ | ハードヒッター向け、低スピン設計 |
この位置づけを見ても分かる通り、TENSEI BLUE TM60は最も汎用性が高く、ドライバーからフェアウェイウッドまで安定して使えるのが最大の魅力です。
実際の打感と弾道特性
実際にTENSEI BLUE TM60を使用すると、スイング中のしなり戻りが非常にスムーズで、タイミングが取りやすいのが特徴です。中調子ながら、手元から先端にかけての剛性バランスが丁寧にチューニングされており、ミート率が高まりやすい設計です。
打ち出し角は中弾道で、スピン量は適正。弾き感よりもしなり戻りによる押し出し感が強く、「狙ったラインに乗せやすい」印象があります。強弾道を求める上級者から、安定したフェアウェイキープを重視する中級者まで幅広く対応できます。
適正プレイヤー層
TENSEI BLUE TM60は、ヘッドスピード40〜46m/s程度のゴルファーに最適です。特に以下のようなプレイヤーに向いています。
- 高すぎず低すぎない中弾道を求める人
- スライス・フックを極端に出したくない人
- 弾き感よりもしなり感のある打感を好む人
- テーラーメイド純正シャフトで安定性を重視したい人
スイングタイプでいえば、**シャフトを感じながらスイングするタイプ(スインガー寄り)**にマッチします。一方で、強く叩くヒッタータイプのプレイヤーが使うとやや柔らかく感じることがあり、低スピン性能を求めるならBLACKの方が適しています。
BLUEを選ぶメリットと注意点
BLUEの最大のメリットは、ミスヒット時の寛容性です。中調子構造により、シャフト全体が自然にしなってフェースの向きを補正するため、インパクト時の方向ブレが少なくなります。また、純正設計ながらトルク値が適度に抑えられており、スピン過多になりにくい点も安定性に寄与しています。
注意点としては、「叩きに行くとタイミングがずれやすい」という点があり、強振タイプのゴルファーは純正よりカスタム版のTENSEI BLUE(非TMモデル)を選ぶのも一つの選択肢です。
総合評価とおすすめセッティング
TENSEI BLUE TM60は、扱いやすさ・安定性・弾道のバランスという観点で、テーラーメイド純正の中でも完成度が高いシャフトです。特にSTEALTHやQi10シリーズで純正のまま使用しても、十分に安定した飛距離と方向性を得られます。
同シリーズのREDやBLACKと比較しても、中間的な立ち位置ながら、実際の使用満足度が非常に高く、多くのアマチュアが「BLUEが一番ちょうどいい」と感じるのはそのためです。
まとめ
- BLUEは中調子で安定性重視
- REDはつかまり重視で高弾道
- BLACKはハードヒッター向けの低スピン仕様
つまり、TENSEI BLUE TM60は“平均的なヘッドスピードで安定したショットを求めるプレイヤー”に最適なシャフトです。テーラーメイドの純正シャフトとして長く評価されている理由は、誰が使っても違和感なく結果が出せる“ちょうど良さ”にあります。ドライバーのリシャフトを検討している中級者にとって、まず試すべき一本といえるでしょう。