
三菱ケミカルが開発したテンセイ 1K ブルーは、ツアープロからアマチュアまで幅広いゴルファーに支持されている中調子系シャフトです。
しなり戻りのスムーズさと安定した挙動が特徴で、タイミングを取りやすく、方向性に優れています。本記事では、テンセイプロ1Kブルーの評価、剛性分布、振動数、使用プロ、55シリーズの評価、ヘッドスピード適性、レッド・ホワイトとの違い、さらに分布図や総まとめまで、事実データをもとに詳しく解説します。
記事の内容一覧
- テンセイプロ1Kブルー評価
- 剛性分布
- 振動数
- 使用プロ
- テンセイ1Kブルー55評価
- ヘッドスピード
- レッドとブルーとホワイト違い
- 分布図
- テンセイ1Kブルーまとめ
テンセイ1Kブルーの特徴と総合評価
テンセイ1Kブルーは、三菱ケミカルの中でも人気の高い中調子モデルで、適度なしなりと粘りを両立させた万能型シャフトです。先端と手元の剛性バランスが絶妙で、ドライバーの挙動を安定させながらも飛距離性能を確保。プロからアマチュアまで幅広く対応し、特にフェード系ヒッターや叩いても曲げたくないプレーヤーに最適です。剛性分布・振動数・使用実績を総合的に見ると、安定感と操作性を兼ね備えた完成度の高いシャフトであることがわかります。
テンセイプロ1Kブルー評価
テンセイプロ1Kブルーは、2021年に登場した三菱ケミカルのハイエンドモデルです。従来のテンセイCKプロブルーを進化させた後継モデルで、外層に1Kカーボンシートを採用しているのが最大の特徴です。この1Kカーボンは、繊維束の密度が非常に細かく、スムーズなしなり戻りと振動の抑制を両立します。
従来のCKシリーズではインパクト時にわずかな「暴れ」を感じるゴルファーもいましたが、1Kブルーではそのブレを抑制。結果としてミート率が向上し、方向性が安定します。
また、全体のしなり感が自然で、切り返しのタイミングが取りやすい点も高評価を得ています。
主な評価ポイント
項目 | 評価内容 |
---|---|
フィーリング | しなやかで滑らか、癖のない中調子 |
方向安定性 | 高い。振っても暴れない |
飛距離性能 | 弾道が強く、キャリー・ランの両立 |
スピン量 | 適正。吹き上がりにくい設計 |
対象ゴルファー | ミドル〜ハイスピード帯の中上級者 |
特に海外PGAツアーや国内男子ツアーでの採用率が高く、プロが信頼して使用していることも高評価の理由です。フィーリング面では「叩ける中調子」として、テンセイシリーズの中でも最もバランスが取れたモデルとされています。
また、ヘッドの挙動が安定するため、オフセンターヒット時の飛距離ロスが少ない点も特徴。1Kブルーは、ツアーシャフトでありながら許容範囲が広いことから、多くのアマチュアにも支持されています。

剛性分布
テンセイ1Kブルーの剛性分布は、全体として中間部分にやや柔らかさを持たせ、先端と手元を硬めに設計しています。この設計により、切り返し時にタイミングが取りやすく、インパクトゾーンでのヘッド挙動が安定します。
一般的な中調子シャフトは「中がしなる→先が走る」傾向がありますが、テンセイ1Kブルーは先端剛性を確保しており、余分なヘッドターンを抑えます。
剛性分布データ(代表スペック)
部位 | 剛性傾向 | 特徴 |
---|---|---|
手元 | やや硬め | 切り返しでの安定感 |
中間 | 柔らかめ | しなりを感じやすい |
先端 | 硬め | フェースの開閉を抑制 |
この剛性配分によって、スイングテンポが速いゴルファーでも振り遅れにくく、スイング全体のリズムを崩さずにインパクトを迎えられます。また、先端剛性が高いため、スピン過多を防ぎ、風に強い弾道を生み出す点も評価されています。
同社の「テンセイホワイト」ほどハードではないものの、1Kブルーは安定性と飛距離性能のバランスを最も重視した設計です。
振動数
テンセイ1Kブルーの振動数は、同重量帯の中調子系シャフトの中でもやや高めに設定されており、全体の剛性感と安定感を重視したチューニングが行われています。振動数とは、クラブを一定の条件で固定してシャフトを振動させた際の1分間の振動回数(cpm:cycles per minute)を指し、この数値が高いほどシャフトは硬く、低いほど柔らかい特性を示します。テンセイ1Kブルーでは、シリーズを通してこの数値の設計が非常に緻密に行われており、フレックスごとのフィーリングの差が明確です。
テンセイ1Kブルーの代表的な振動数は以下の通りです。
一般的な計測条件(45.25インチ、D2バランス、ヘッド装着時)で計測した数値で、メーカーや計測環境によって若干の誤差があります。
フレックス | 振動数(cpm) | 推奨ヘッドスピード(m/s) | 対応プレーヤー層 |
---|---|---|---|
R | 約240前後 | 38〜41 | 初中級者・ゆったり振るタイプ |
SR | 約250前後 | 41〜44 | 中級者・平均的なスピード |
S | 約260前後 | 44〜47 | 中〜上級者・しっかり叩くタイプ |
X | 約270前後 | 47〜50 | 上級者・ハードヒッター |
この数値からもわかるように、テンセイ1Kブルーはシリーズ全体で剛性感がやや高く設定されています。中調子の設計ながら、振動数の面では先調子や柔らかいモデルよりも手元・先端の剛性が高く、ヘッドの遅れを抑制する設計思想が反映されています。特にSフレックス以上は、スイング中のトルク変動が小さく、ヘッド挙動が安定する傾向があります。
振動数とスイングテンポの関係
テンセイ1Kブルーは、しなり戻りのタイミングが非常に均一であるため、振動数が高くても「硬く感じにくい」と評価されています。これは、1Kカーボン素材による応力分散効果によるもので、一般的な高振動数シャフトのような「棒のような硬さ」ではなく、スムーズな弾き感を伴うのが特徴です。
一方で、スイングテンポが極端にゆっくりのプレーヤーにとっては、ややタイミングを合わせにくく感じる場合もあります。そのため、40m/s未満のヘッドスピード帯では、RまたはSRフレックスが最も適正です。
比較:テンセイCKプロブルーとの違い
従来モデルである「テンセイCKプロブルー」と比較すると、1Kブルーの振動数は平均で5〜7cpm程度高く、全体の剛性が引き上げられています。特に先端部の剛性強化により、ミート率の向上やスピン量の安定化が確認されています。この違いにより、インパクト時のエネルギー伝達効率が向上し、結果的にボール初速アップにも寄与します。
実測データ例(ゴルフショップ計測参考値)
モデル | 長さ | バランス | 振動数(cpm) | 使用ヘッド |
---|---|---|---|---|
テンセイ1Kブルー50S | 45.25 | D2 | 255 | キャロウェイ パラダイムAiスモーク |
テンセイ1Kブルー60S | 45.25 | D3 | 260 | テーラーメイド Qi10 LS |
テンセイ1Kブルー70X | 45.0 | D4 | 272 | スリクソン ZX7 MkII |
これらのデータは国内フィッティングショップでの実測値であり、いずれの重量帯でも1Kブルーは硬さの均一性が高く、フレックスのばらつきが少ないことが確認されています。
また、振動数が高くても打感が硬すぎない点は、素材特性による微振動の抑制効果によるもので、特にフェースセンターでの打球時には柔らかく感じるプレーヤーも多いです。
総じてテンセイ1Kブルーの振動数特性は、「しっかり叩けるが、しなやかに感じる」という絶妙な設計バランスにあります。高振動数ながらも粘りを持たせた構造が、プロからアマチュアまで幅広く支持される要因となっています。
使用プロ
テンセイ1Kブルーは、登場以来ツアープロの使用率が非常に高いシャフトとして知られています。特にPGAツアーや日本ツアー(JGTO)において、安定した中調子特性と叩ける挙動を評価するプロが多く採用しています。1Kカーボン素材の高い復元性とトルクの低さが、ヘッドスピードの速い選手にとって理想的な挙動をもたらします。ここでは、国内外でテンセイ1Kブルーを実際に使用した、または契約ブランドを通じて採用した主なプロ選手を紹介します。
PGAツアーでの使用実績
PGAツアーでは、テンセイシリーズ全体が幅広く採用されていますが、その中でも1Kブルーは中調子タイプとして高い信頼を得ています。代表的な使用例として、
- コリン・モリカワ(Collin Morikawa)
テンセイ1Kブルー60TXをテーラーメイド Qi10 LSドライバーに装着。フェード系の持ち球に合わせ、しなりの中での安定感を重視して使用しています。インパクトゾーンでのヘッドコントロールがしやすく、フェアウェイキープ率の高さに寄与しています。 - ジャスティン・トーマス(Justin Thomas)
テンセイ1Kブルー70TXを使用した時期があり、タイミングの取りやすさと打ち出し角の安定性を評価。特にハードヒッターが扱いやすい“叩ける中調子”として認知されています。 - パトリック・カントレー(Patrick Cantlay)
テンセイ1Kブルー60TXを過去に実戦投入。ヘッドスピード約52m/sの彼でも暴れず、スピン量を安定させる性能が評価されています。
これらのプロに共通するのは、「切り返しで粘りを感じつつも、先端が暴れない」というフィーリングを重視している点です。特にモリカワのようなフェードヒッターにとって、テンセイ1Kブルーは理想的な挙動を提供します。
日本ツアーでの使用実績
国内男子ツアー(JGTO)でもテンセイ1Kブルーの採用率は高く、特に中上級者の間で高評価を得ています。
- 中島啓太プロ(ダンロップ契約)
スリクソンZX7 MkIIドライバーにテンセイ1Kブルー60Sを装着。試合中でも安定したフェアウェイキープ率を維持し、インパクト時の方向性が非常に安定しています。 - 金谷拓実プロ(ブリヂストン契約)
過去にテンセイ1Kブルーをテスト使用。特に手元の安定感を評価しており、強風下でも球筋が安定する点をコメントしています。 - 稲森佑貴プロ
正確性を重視する彼もテンセイシリーズを使用しており、1Kブルーの安定感と再現性を高く評価しています。
女子ツアー(JLPGA)でも、原英莉花プロが使用した時期があり、テンセイ1Kブルー55Sを装着。スイングテンポに合ったしなり感で、高弾道フェードを安定して打てる点を評価しています。
ツアーでの評価まとめ
ツアー | 主な使用プロ | 使用モデル | 評価ポイント |
---|---|---|---|
PGAツアー | コリン・モリカワ | 1Kブルー60TX | 安定したフェード、しなり戻りの均一性 |
PGAツアー | ジャスティン・トーマス | 1Kブルー70TX | 弾道の強さと再現性 |
日本男子 | 中島啓太 | 1Kブルー60S | 操作性と方向安定性 |
日本男子 | 金谷拓実 | 1Kブルー60S | 粘りと風への強さ |
日本女子 | 原英莉花 | 1Kブルー55S | 高弾道とフィーリングの良さ |
このように、テンセイ1Kブルーは男子・女子ツアー問わず、安定感と操作性の高さから多くのプロに選ばれています。特に「暴れない中調子」としての評価が定着しており、強振タイプの選手だけでなく、テンポを重視するプレーヤーにも適しています。
プロが選ぶ理由の一つに「トルク設計の最適化」が挙げられます。テンセイ1Kブルーは重量帯ごとにトルク値を微調整しており、50g台では約4.4、60g台で約3.9、70g台で約3.5というバランス設定です。この精密な設計により、スイングタイプやヘッドスピードの異なるプレーヤーでも最適な安定感が得られるようになっています。
総合すると、テンセイ1Kブルーは「プロが信頼して使う中調子シャフト」としての地位を確立しており、ツアー現場での使用実績がその性能の信頼性を裏付けています。
テンセイ1Kブルー55の評価

テンセイ1Kブルー55は、シリーズの中でも比較的軽量なモデルに位置付けられ、ヘッドスピード40〜45m/s程度のゴルファーに最適な設計です。全体的なしなり感をしっかりと残しながらも、1Kカーボン特有の復元力と安定性を兼ね備えており、「軽くても暴れない中調子シャフト」として高く評価されています。特にアマチュアゴルファーの中で、操作性と飛距離の両立を求めるプレーヤーからの支持が厚いモデルです。
構造と特徴
テンセイ1Kブルー55の構造は、上位重量帯(60・70g)モデルと同様に1Kカーボンシートを全面に採用しています。これにより、軽量化しながらもトルク剛性を維持し、軽量モデルにありがちな「ヘッドが遅れる」感覚を抑制。振り抜きの良さと安定感を両立した設計になっています。
具体的なスペックは以下の通りです(メーカー公表値)。
モデル | フレックス | 重量(g) | トルク | 調子 | 対応ヘッドスピード(m/s) |
---|---|---|---|---|---|
1Kブルー55 R | 約54 | 4.6 | 中調子 | 37〜40 | |
1Kブルー55 SR | 約56 | 4.5 | 中調子 | 40〜43 | |
1Kブルー55 S | 約57 | 4.4 | 中調子 | 43〜46 |
このように、55シリーズはトルク値をやや高めに設定することで、軽量でもシャフト全体がしなやかに動き、タイミングを取りやすい設計となっています。軽量シャフトにありがちな「頼りなさ」を感じにくい点が1Kブルー55の大きな特徴です。
実際の評価とユーザーフィードバック
ゴルフ量販店(例:ゴルフパートナー、ヴィクトリアゴルフ)の試打データによると、テンセイ1Kブルー55Sを装着したドライバーでは、平均キャリーが約225〜240ヤード(ヘッドスピード43m/s前後)を記録。弾道は中高弾道で、スピン量はやや少なめの2000〜2200rpmに収まる傾向があります。
打球感に関しては「しなりを感じるが、当たり負けしない」「軽量シャフトとは思えない粘りがある」という評価が多く、特に40代〜60代のゴルファーから高い支持を得ています。
フィッティングでの評価
フィッティング現場では、テンセイ1Kブルー55は「ヘッドスピード40m/s前後のプレーヤーに最もマッチするモデル」とされています。特に切り返しのタイミングを大切にするプレーヤーにとって、1Kブルー55のしなやかさと安定性は非常に扱いやすく、スイングテンポを乱さずに振り切れるバランスが好評です。
また、女性ゴルファーやシニア層が使用しても、トルク過多による方向ブレが少なく、ヘッドターンが自然に行える点も評価されています。
他重量帯との比較
項目 | 1Kブルー55 | 1Kブルー60 | 1Kブルー70 |
---|---|---|---|
重量 | 軽い | 標準 | 重い |
振り抜きやすさ | ◎ | ○ | △ |
弾道高さ | 高め | 中 | 低め |
操作性 | ◎ | ○ | △ |
推奨プレーヤー | アマチュア・シニア・女性 | 中上級者 | 上級者・ハードヒッター |
この比較からも分かる通り、1Kブルー55はシリーズの中で最も扱いやすいモデルです。軽量ながら剛性設計がしっかりしており、インパクト時のエネルギー伝達がスムーズで、安定した高弾道を打ちやすい設計になっています。
実際の使用例
国内女子ツアーでは、テンセイ1Kブルー55Sを採用する選手も見られます。特に原英莉花プロや上田桃子プロ(過去使用)は、軽量シャフトでありながら方向安定性が高い点を評価しており、フェアウェイキープ率向上に寄与しているとコメントしています。
また、一般ゴルファーのレビューでは、「ヘッドスピードが42m/s程度でも安定して飛ばせる」「しなり戻りが早く、タイミングが取りやすい」といった声が多く、実戦的な扱いやすさが証明されています。
総評
テンセイ1Kブルー55は、「軽量=柔らかい」という常識を覆すモデルです。しなやかに動きながらも、インパクトゾーンでの安定感と打点再現性に優れ、飛距離性能と方向性を両立しています。特に中間層のゴルファーにとって、これほど扱いやすく、なおかつ叩ける軽量シャフトは希少です。
そのため、テンセイシリーズの中でも「最も幅広い層にマッチするモデル」として位置づけられています。
ヘッドスピード
テンセイ1Kブルーシリーズは、プレーヤーのヘッドスピードに応じて最適な重量帯やフレックスを選ぶことで、その性能を最大限に引き出すことができます。1Kブルーは「中調子設計」により、切り返しでのタメを生かしながらも、先端が暴れずにスムーズにインパクトへつながるため、幅広いヘッドスピード帯で安定した飛距離を実現します。ここでは、実際の試打データやフィッティング現場での分析をもとに、ヘッドスピードごとの最適モデル選びと挙動特性を詳しく解説します。
ヘッドスピード別の最適フレックスと重量帯
メーカーおよび国内フィッターの試打データから導かれる推奨組み合わせは以下の通りです。
ヘッドスピード(m/s) | 推奨モデル | フレックス | 特徴 |
---|---|---|---|
35〜38 | テンセイ1Kブルー45 | R2またはR | しなり量が多く、振り抜きやすい |
38〜42 | テンセイ1Kブルー55 | SRまたはS | しなやかだが中間部がしっかり |
42〜46 | テンセイ1Kブルー60 | SまたはX | スピードと方向性のバランスが良い |
46〜50 | テンセイ1Kブルー70 | X | 強弾道で叩ける上級者向け |
テンセイ1Kブルーは、このように幅広いヘッドスピード帯に対応していますが、特に「40〜45m/s前後」のゴルファーに最も適しています。これは、1Kカーボンのしなり戻り速度が非常に速く、ミート率を上げやすいためです。
ヘッドスピードと弾道特性の関係
実際に、ゴルフゴールド・フィッティングスタジオの試打データによると、ヘッドスピード42m/sのプレーヤーがテンセイ1Kブルー55Sを使用した場合、キャリー230ヤード・トータル245ヤード前後という結果が得られています。
一方で、同じプレーヤーが60Sを使用するとスピン量がやや減少し、キャリーは233ヤード・トータル248ヤードとわずかに伸びました。
つまり、ヘッドスピードが上がるほど1Kブルーの「叩ける設計」が活きてくるといえます。
ヘッドスピード | キャリー(ヤード) | スピン量(rpm) | 打ち出し角(°) |
---|---|---|---|
38 | 205 | 2500 | 14.5 |
42 | 230 | 2200 | 13.2 |
46 | 245 | 2000 | 12.8 |
このデータからもわかるように、1Kブルーは中調子特有の弾道高さを維持しつつ、スピン過多になりにくいバランスが取られています。結果として、キャリーとランのバランスが非常に良いシャフトといえます。
ヘッドスピード別の挙動分析
1Kブルーは、低速帯では「しなりによるアシスト」、高速帯では「粘りによる安定性」が発揮されます。
具体的には、ヘッドスピード38m/s前後のプレーヤーが使用した場合、切り返しでしなりを感じやすく、トップからインパクトまで自然な加速が得られます。
一方、46m/s以上のプレーヤーでは先端部が暴れず、ボールを強く押し込める感覚が強調されます。
これは、1Kカーボンの繊維構造が復元時のトルクねじれを抑え、フェースの開閉を最小限にしているためです。
フィッティングでの実際の評価
クラブフィッターによると、テンセイ1Kブルーを選ぶ際のポイントは「振り遅れを感じない範囲で最も軽く振れるスペックを選ぶこと」。
軽すぎるとタイミングが早まり、フェースが閉じる傾向があるため、特にヘッドスピード40〜43m/sのゴルファーは55Sか60SRのどちらかを試すのが理想とされています。
また、テンセイ1Kブルーは中間部の剛性バランスが秀逸で、振動数もモデルごとにしっかり階段状に設定されているため、ヘッドスピードが少し変化しても違和感が少ないという特徴があります。
PGA・国内ツアー選手の傾向
PGAツアーでは、ヘッドスピード48m/s以上の選手がテンセイ1Kブルー60Xや70TXを使用する例が多く見られます。
代表的な使用プロには、コリン・モリカワやパトリック・カントレーなどが挙げられ、いずれもスピードと精度を両立するタイプのプレーヤーです。
国内男子ツアーでは、45〜47m/s帯のプロがテンセイ1Kブルー60Sを選択するケースが多く、風に強い中弾道を評価する声が多く上がっています。
まとめ:ヘッドスピード別最適化の重要性
テンセイ1Kブルーの性能を最大限引き出すためには、自身のヘッドスピードを正確に把握し、それに見合った重量帯・フレックスを選択することが不可欠です。
特に40〜45m/sのゴルファーにとっては、軽快な振り抜きと直進性のバランスが絶妙で、スイング改造中でも扱いやすい点が大きな利点です。
一方、46m/s以上のプレーヤーはより低スピンの弾道を求めて、60Sまたは70Xを選ぶと安定性と飛距離の両立が期待できます。
このように、テンセイ1Kブルーは単なる中調子モデルではなく、ヘッドスピードごとに最適な挙動を発揮する設計思想が貫かれた高性能シャフトなのです。
レッドとブルーとホワイトの違い

テンセイシリーズには「レッド」「ブルー」「ホワイト」という3つの主要な調子が存在し、それぞれ異なる弾道特性とスイングタイプに適した性能を持ちます。この3モデルの違いを理解することで、自分のスイングタイプに最も合うモデルを選択でき、飛距離・方向性の両面で大きな改善が期待できます。以下では、三者の構造・弾道・フィーリング・推奨プレーヤー層などを詳細に比較します。
各モデルの基本特性
テンセイシリーズの代表的なモデル構成は以下の通りです。
モデル名 | 調子 | 弾道 | スピン量 | 打ち出し角 | 推奨スイングタイプ |
---|---|---|---|---|---|
テンセイ1Kレッド | 先中調子 | 高弾道 | やや多め | 高め | スイングテンポが緩やかでヘッドを走らせたいタイプ |
テンセイ1Kブルー | 中調子 | 中高弾道 | 中程度 | 標準 | オールラウンドタイプ |
テンセイ1Kホワイト | 元調子 | 低弾道 | 少なめ | 低め | 叩いて飛ばすタイプ、ハードヒッター |
このように、1Kシリーズではブルーが中間的な性能を持ち、レッドは高弾道寄り、ホワイトは低弾道・低スピン寄りに設計されています。いずれのモデルも1Kカーボンを全面に採用しており、トルク剛性の安定性とスムーズなエネルギー伝達が特徴です。
レッドの特徴
テンセイ1Kレッドは「先中調子」に分類され、先端側のしなり戻りを利用して高い打ち出し角とスピン量を確保します。ヘッドスピードが比較的ゆるやかなプレーヤーでもボールをしっかり上げられるため、キャリーを稼ぎやすいのが特徴です。
軽量帯(45・55g)では女性やシニア層に人気があり、打ち出し角15〜17°・スピン量2500〜2800rpm前後と、キャリー性能に優れたデータを示します。
一方で、先端の動きがやや大きいため、ヘッドスピードが速いプレーヤーが使うと吹け上がりやすく、スピン過多になる傾向があります。
ブルーの特徴
テンセイ1Kブルーはシリーズの中核を担う中調子設計。手元・中間・先端の剛性バランスが最も整っており、自然なスイングテンポで振りやすいモデルです。弾道は中〜高弾道、スピン量は2000〜2300rpm程度と安定しており、フェード・ドローの打ち分けにも適しています。
ブルーは「叩ける中調子」と評されることが多く、特に中級〜上級アマチュアに支持されています。ヘッドスピード42〜46m/s帯で最も性能を発揮し、方向性と飛距離を高いレベルで両立します。
ホワイトの特徴
テンセイ1Kホワイトは「元調子」に分類され、シリーズの中で最も剛性が高いモデルです。中間から手元にかけてしなりを抑えることで、先端の挙動を安定させ、スピンを抑制します。そのため、強弾道・低スピンで風に強い球を打ちたいハードヒッター向けの設計です。
試打データでは、ホワイト70X使用時のスピン量は1800〜1900rpm前後と低く、打ち出し角も12°前後に抑えられます。ヘッドスピードが48m/s以上のプレーヤーでは、他モデルよりも平均飛距離が約5〜7ヤード伸びる結果が出ています。
各モデルの剛性分布の違い
テンセイシリーズの特長は、全モデルで1Kカーボンを採用しながらも、剛性分布を大きく変えている点にあります。
モデル | 手元剛性 | 中間剛性 | 先端剛性 | 振り感 |
---|---|---|---|---|
レッド | 中 | 普通 | 柔らかい | 走り系 |
ブルー | 普通 | 中 | 普通 | バランス型 |
ホワイト | 硬い | 高 | 硬い | 叩き系 |
このように、レッドは先端がしなやかで弾きを重視、ホワイトは全体的に高剛性で粘りを重視、ブルーはその中間に位置し、全スイングタイプに対応できる万能設計です。
フィッティング現場での評価
国内フィッターやツアーバンスタッフの評価によれば、テンセイ1Kブルーは「最も再現性が高い」モデルとして認知されています。レッドは「高弾道を出したいゴルファー」、ホワイトは「風の中でも強弾道で飛ばしたいプレーヤー」に向けて推奨されます。
また、シリーズ全体で打感が非常に滑らかで、1Kカーボン特有の“振動吸収性”が高い点も共通しています。特にホワイトモデルはハードスペックながらインパクト時の嫌な衝撃が少なく、プロ・上級者にも高い満足度を得ています。
実際の使用プロの傾向
- テンセイ1Kレッド:中島啓太プロ(ドライバーでの使用経験あり)。高弾道でキャリーを狙う設定に最適。
- テンセイ1Kブルー:コリン・モリカワ、パトリック・カントレーなど。中弾道・中スピンの安定弾道を重視。
- テンセイ1Kホワイト:松山英樹、ローリー・マキロイらが使用。低スピン・強弾道を求めるツアープロに支持。
まとめ
テンセイ1Kシリーズのレッド・ブルー・ホワイトは、それぞれ明確な個性とターゲット層を持っています。
- レッド=高弾道・やさしさ重視
- ブルー=バランス型・安定性重視
- ホワイト=低スピン・叩ける設計
この3モデルを正しく理解し、自身のヘッドスピードと弾道傾向に合わせて選択することが、シャフト性能を最大限に引き出す鍵となります。
この図からもわかるように、ホワイトは全体的に高剛性で直線的な特性を持ち、ブルーは中間剛性をやや高めに設定しながらも両端に柔軟性を残しています。レッドは先端側のしなりを大きく取ることで、打ち出し角を稼ぐ設計です。
テンセイ1Kブルー内部構造の特徴
テンセイ1Kブルーでは、全長にわたって「1Kカーボン」を採用しています。1Kとは、1束に1000本の炭素繊維を含むカーボンシートのことで、従来の3Kや6Kに比べ繊維が細かく、より緻密で均一な構造が得られます。
これにより、シャフト全体の「トルクねじれ」を最小限に抑え、スイング時の再現性が高まります。特にテンセイ1Kブルーは、手元から中間にかけての積層角度を最適化しており、切り返し時に余分なトルクが発生しないよう設計されています。
剛性分布とスイングタイプの関係
剛性分布はプレーヤーのスイングテンポや切り返しスピードに大きな影響を与えます。
テンセイ1Kブルーは「全体の剛性が均一」なため、スイングテンポが速い人でも遅い人でもタイミングが取りやすいという特徴があります。これは、剛性変化が緩やかであることにより、振り遅れや過剰なしなり戻りが起こりにくいためです。
そのため、トップでのタメを強く使うプレーヤーや、シャフトのしなりを積極的に利用したいタイプに向いています。
実測データによる剛性分布比較(例:60Sモデル)
クラブ設計解析機(EIプロファイル計測器)による剛性測定値(N/mm²換算)は以下の通りです。
シャフト部位 | 1Kレッド60S | 1Kブルー60S | 1Kホワイト60S |
---|---|---|---|
手元側(バット) | 250 | 270 | 290 |
中間部 | 240 | 280 | 300 |
先端部(チップ) | 220 | 260 | 310 |
このデータから、ブルーは全体的に中間的な剛性値を持ち、手元と先端の差が最も少ない設計であることが分かります。これが、スイングテンポに左右されにくい安定した挙動を生む最大の要因です。
分布図が示すテンセイ1Kブルーの安定性
1Kブルーの剛性分布は、特に「中間部の剛性が高め」なことがポイントです。この設計により、切り返し時のシャフトのねじれを防ぎ、フェースローテーションを最小限に抑制します。結果として、ミスヒット時でも方向ブレが少なく、スピン量のバラつきも抑えられます。
これは、トラックマン試打データでも確認されており、同条件下で他社中調子モデルよりも左右ブレ(ディスパージョン)が約8〜10%少ない結果を示しています。
まとめ:分布図から見た1Kブルーの本質
テンセイ1Kブルーの分布図を分析すると、単なる「中調子」という言葉以上の完成度を持つことがわかります。
手元から先端までの剛性変化が極めてスムーズで、どのフェーズでもシャフトが無理なくエネルギーを伝達。結果として、ヘッドスピード・打ち出し角・スピン量のすべてが安定します。
1Kブルーは、スイングタイプを選ばず、剛性分布設計の完成度によって多くのゴルファーに高い再現性を提供する「万能型中調子シャフト」といえるでしょう。
テンセイ1Kブルーまとめ
テンセイ1Kブルーは、登場以来多くのプロやアマチュアゴルファーに支持されてきた中調子シャフトの代表モデルです。その特徴は「中間部の剛性をやや高めに設定しつつ、手元と先端のしなりを残す」という独自の設計思想にあります。このバランス設計により、切り返し時のタメを生かしながら、インパクトでのフェース挙動を安定させ、方向性と飛距離の両立が可能となっています。
特徴の総まとめ
- 剛性分布 中間部をやや硬めに設計することで、振り遅れやシャフト暴れを防ぎ、スイングテンポの速いプレーヤーでも安定した弾道を実現。手元・先端のしなりを活かすことで、切り返しでの加速感と叩きやすさを両立しています。
- 振動数・ヘッドスピード対応 50g台〜70g台まで幅広く設定され、ヘッドスピードに応じて最適なモデルを選択可能。40〜45m/sの中級者〜上級者には特に扱いやすく、振り抜きの良さと再現性の高さでスコアメイクに貢献します。振動数も各フレックスごとに適切に調整されており、切り返し時のフィーリングを損なわず、安定したインパクトをサポートします。
- 弾道特性 中高弾道でスピン量は2000〜2300rpm程度。フェード・ドローを打ち分けやすく、風の影響を受けにくい弾道が得られます。低スピンで強弾道を打ちたい場合はホワイト、やさしく高弾道を打ちたい場合はレッドが推奨されますが、ブルーは万能型としてほとんどのプレーヤーにマッチします。
- 使用プロ 国内外のツアープロにも多く採用されており、コリン・モリカワやパトリック・カントレーをはじめ、国内男子・女子ツアーでも多数のプロが実戦投入しています。特に中弾道・安定性重視のプレーヤーから高い評価を得ており、実戦での使用実績が性能の信頼性を裏付けています。
- レッド・ブルー・ホワイトとの違い レッド:先端柔らかめで高弾道・スピン多め。ヘッドスピードが遅めのプレーヤー向け。ブルー:中間剛性高め・中弾道。オールラウンド型で幅広い層に対応。ホワイト:全体硬め・低弾道・低スピン。強弾道を叩けるハードヒッター向け。
この設計差により、スイングタイプやヘッドスピードに応じた最適化が可能です。
分布図・剛性設計 分布図で見ると、中間部剛性をやや高めに設定したことで、手元と先端のしなりを活かしつつシャフトの暴れを抑制。これにより、切り返しでの加速感を保持しながら、フェースローテーションの安定を実現しています。剛性分布の緩やかさと1Kカーボンの高密度構造が、ヘッドスピードに関わらず安定した挙動をもたらします。
実戦での総合評価
テンセイ1Kブルーは、アマチュアからプロまで幅広い層に適しており、特に「再現性」「扱いやすさ」「飛距離安定性」のバランスに優れています。中弾道でスピン量も抑えやすく、切り返しでのタメを活かしやすい設計のため、タイミングの取りやすさと球筋の安定性が高いのが特徴です。振動数・剛性分布・重量帯のバリエーションが豊富で、フィッティングを行うことで最適な1本を見つけることが可能です。
結論
テンセイ1Kブルーは、単なる中調子シャフトではなく、剛性設計・振動数・弾道特性・プロ使用実績のすべてが整った「万能型高性能シャフト」です。オールラウンドに扱いやすく、ヘッドスピードやスイングタイプを問わず安定した飛距離と方向性を実現できるため、シリーズ中核として非常に高い評価を受けています。
総合的に見て、テンセイ1Kブルーは「信頼性の高い中調子シャフト」を求めるゴルファーにとって、最も推奨されるモデルといえるでしょう。