
近年、ゴルファーの間で再注目されているのが三菱ケミカルの「ディアマナ D リミテッド」シリーズ。
その中でも特に注目されているのがシャフトの“振動数”です。振動数はフィーリングや球筋に直結する重要な要素。この記事では、ディアマナDリミテッドの振動数に着目しながら、スペックや純正シャフトとの違い、プロの使用例などを詳細に解説していきます。購入検討中の方、中古での選び方に悩む方は必見です。
記事の内容一覧
- ディアマナDリミテッド特徴
- スペック
- Dリミテッド振動数
- 純正シャフト振動数
- 評価
- 後継
- 合うヘッド
- 中古
- ZF違い
- 使用プロ
- 振動数まとめ
目次
ディアマナDリミテッドの振動数と性能を総チェック

本記事では、ディアマナDリミテッドの特徴やスペックを詳しく紹介しながら、振動数に焦点を当てて解析します。人気の50S・60Sモデルの数値比較や、テーラーメイドの純正シャフトとの違いも網羅。さらにZFシリーズとの違いや使用プロの情報、中古市場での選び方も取り上げ、読者の疑問を網羅的に解消します。
ディアマナDリミテッドの特徴は?
手元側の高剛性設計
ディアマナDリミテッド(Diamana D LIMITED)は、三菱ケミカルが展開するツアープロ向けカスタムシャフト「Diamana」シリーズの中でも、特に手元調子を極めたモデルとして知られています。このシャフトは、初代ディアマナDシリーズ(D+シリーズ)の後継にあたり、より現代的なスイングスピードやパワーに対応すべく、2019年に開発されました。最大の特徴は、「飛ばすための剛性設計」と「安定したスピンコントロール」を両立している点です。
Dリミテッドは、手元剛性が非常に高く設定されており、ダウンスイングでのシャフトのしなり戻りを極限まで抑制しています。これにより、スイングプレーンの安定感が増し、打点のバラつきが少なくなることがメリットです。結果として、飛距離が出やすく、狙った方向に打ち出しやすくなるという評価があります。しなり戻りのタイミングに頼らず、振り抜きで球を運びたいゴルファーにとっては理想的な挙動と言えるでしょう。
高トルクでも暴れにくい 弾道は低め、スピン量も抑えめ
Dリミテッドはトルク値(ねじれ剛性)がやや高めに設計されていますが、それでも暴れる感覚はなく、インパクト時の挙動は非常に安定しています。これは三菱ケミカル独自の「MR70」と呼ばれる高弾性素材を使用しているためで、剛性としなやかさを高次元でバランスさせています。一般的には「トルクが大きい=暴れる」というイメージがありますが、このシャフトでは当てはまりません。
弾道の傾向としては、Dリミテッドはやや低めの打ち出し角になり、スピン量も控えめです。これにより、風の影響を受けにくく、ライナー系の強い球を打ちやすくなります。特にヘッドスピードが45m/sを超えるプレーヤーにとっては、弾道のコントロール性能が高く感じられる傾向があります。ドローやフェードといった意図的な球筋を打ち分けたい上級者にはうってつけの特性です。
カスタムシャフト市場での立ち位置 対象ゴルファーの傾向
このDリミテッドは、カスタムフィッティング市場での需要も高く、多くのクラブメーカーが対応モデルとしてリストに載せています。PGAツアーや国内男子ツアーでも使用者が確認されており、信頼性の高いツアー系シャフトとして位置付けられています。一方で、一定以上のヘッドスピードやシャフトに対する扱いの精度が求められるため、初心者にはやや難易度が高いモデルでもあります。
Dリミテッドがマッチするゴルファーの典型は、「叩いても左に行きにくいシャフトが欲しい人」「しなり過ぎるシャフトだとタイミングが取りづらい人」「風に強い球を打ちたい人」などです。特にフッカー傾向のプレーヤーや、強振しても安定性を保ちたい上級者からの支持が厚い傾向があります。逆に、スインガータイプやシャフトのしなりを活かしたいプレーヤーにはやや扱いづらく感じる場合もあるため、自身のスイングタイプを考慮したうえで選択することが重要です。
スペック

ディアマナ D リミテッドは、重量帯とフレックスに応じて複数のモデルが展開されています。以下は代表的なスペックです。
重量帯とフレックス展開
ディアマナDリミテッドには、50g台・60g台・70g台の3つの重量帯があり、それぞれに複数のフレックス(R、S、Xなど)が設定されています。
モデル | フレックス | 重量(g) | トルク | キックポイント(調子) |
---|---|---|---|---|
D-LIMITED 50 | R | 約53 | 4.9 | 手元調子 |
D-LIMITED 50 | S | 約55 | 4.7 | 手元調子 |
D-LIMITED 60 | S | 約64 | 3.9 | 手元調子 |
D-LIMITED 60 | X | 約66 | 3.8 | 手元調子 |
D-LIMITED 70 | S | 約75 | 3.0 | 手元調子 |
D-LIMITED 70 | X | 約76 | 3.0 | 手元調子 |
※上記の数値はメーカー公表値であり、装着ヘッドや長さにより若干異なる場合があります。
キックポイントと弾道傾向
ディアマナDリミテッドはすべて「手元調子」に設定されています。これは、スイング中にシャフトのしなりが手元側で発生する設計で、叩いても吹け上がりにくく、低スピン・低弾道の力強いボールを打つことができます。
そのため、強く振っても左方向へのミス(引っ掛けやフック)が出にくく、球のつかまりを抑えたいゴルファーや、風に強いライナー弾道を求めるプレーヤーに適しています。

シャフト長・チップ径・バット径
Dリミテッドの標準仕様は以下の通りです。
- シャフト長:1168mm(46インチ)
- チップ径:8.50mm(.335インチ)
- バット径:15.15~15.35mm(モデルにより異なる)
これらの寸法により、ヘッドとの一体感が高まり、精度の高い弾道制御が可能となっています。
使用素材と設計技術
Dリミテッドには、三菱ケミカルが開発した高強度炭素繊維「MR70」が使用されています。この素材は一般的なカーボンファイバーよりも強度と弾性率が高く、ねじれ剛性(トルク)を保ちつつ、しなやかさも確保できるという特徴を持ちます。また、全長に渡って最適化された剛性設計により、スイング中の無駄なしなりや挙動のバラつきを最小限に抑えています。
スペック選びのポイント
ディアマナDリミテッドを選ぶ際は、スイングスピードだけでなく、プレーヤーのスイングテンポや球筋の傾向を考慮することが重要です。以下は一般的な推奨例です。
- ヘッドスピード40〜43m/s → 50S、やや軽めで振り抜きやすい
- ヘッドスピード43〜46m/s → 60S〜60X、スタンダードな選択
- ヘッドスピード47m/s以上 → 70S〜70X、剛性重視のパワーヒッター向け
ただし、あくまで目安であり、フィッティングや実打テストを通じて選ぶことが最も確実です。
ディアマナにDリミテッド振動数
振動数はシャフトの硬さや打感を数値で把握するための重要な指標です。ディアマナ D リミテッドでは、以下のような測定値が一般的に示されています(振動数はクラブ長45.25インチ・ヘッド装着時の実測値)。
モデル | 振動数(cpm) |
---|---|
D Limited 50S | 約255〜260 |
D Limited 60S | 約265〜270 |
D Limited 60X | 約275〜280 |
この振動数から分かるように、50SはSフレックスとしては標準的な硬さですが、60Sや60Xはやや硬めの設計になっています。特にDリミテッドは手元剛性が高いため、振動数の数値以上に“硬く感じる”ゴルファーも多い点が特徴です。
フィッティングの重要性
Dリミテッドはシャフトの戻りが早いため、振動数だけでなくスイングテンポとの相性も重要になります。同じ数値でもタイミングの取りやすさに差が出るため、試打してフィーリングを確かめることを推奨します。
純正シャフト振動数
ディアマナDリミテッドと比較されることが多いのが、テーラーメイドなどのメーカーが採用している純正装着シャフトです。純正モデルには見た目が似ている「Diamana」ブランドの名前が付いていることがありますが、実際には振動数や中身の設計が異なるため、注意が必要です。
振動数比較の実測例(テーラーメイド)
以下は、SIMやステルスシリーズに標準搭載されていた「TENSEI BLUE TM50」や「Diamana TM50」などの純正シャフトの振動数の一例です。
シャフト名 | フレックス | 振動数(cpm) |
---|---|---|
Diamana TM50 | S | 約240〜245 |
TENSEI BLUE TM50 | S | 約235〜240 |
Tour AD UB-6(カスタム) | S | 約265〜270 |
このように、純正Sシャフトは振動数が240前後で設計されているケースが多く、カスタムシャフトと比べると“柔らかく”感じる仕様です。Dリミテッド 60Sが265前後であることを考えると、振動数の差は20cpm以上あり、実際の打感にも明確な違いが出ます。
なぜ純正シャフトは柔らかいのか
純正シャフトは万人向けに作られており、ミート率や初速の出やすさを優先して設計されています。そのため、切り返しでシャフトが大きくしなり、自然にタイミングが取りやすくなる設計が主流です。これに対し、Dリミテッドはハードヒッター向けに、スピン量を抑えて弾道をコントロールするための剛性バランスが取られています。
評価
ディアマナDリミテッドは、発売当初から高い評価を得ており、現在も中古市場で高値で取引される人気モデルです。評価のポイントは以下の3点に集約されます。
1. 弾道の安定性が高い
中元調子設計と高剛性手元により、インパクトゾーンでシャフトがブレにくく、左右のバラつきが抑えられることが高評価につながっています。
2. スピン量が少なく飛距離が伸びる
ハードヒッターがスピン過多にならず、強い弾道でキャリーとランを稼げるため、飛距離性能に満足する声が多く見られます。
3. “白マナ”の再来としての安心感
白マナ(ディアマナDシリーズ)の流れを汲むモデルであることから、かつての白マナファンや上級者からの信頼度が高く、「扱いやすいのに曲がらない」という声も多いです。
一方で、「一般アマチュアには少し硬く感じる」「球が上がりにくい」という声もあり、万人向けではない点も明確になっています。
後継
ディアマナDリミテッドの直接的な後継モデルとして明確に位置づけられている製品は存在しませんが、三菱ケミカルのラインナップの中では「ディアマナWBシリーズ」が近い系統とされています。WBシリーズも中元調子であり、Dリミテッド同様に切り返しの剛性感とインパクト時の安定感が特徴です。
比較:Dリミテッド vs WB
特徴 | Dリミテッド | WBシリーズ |
---|---|---|
調子 | 中元調子 | 中元調子 |
振動数の傾向 | やや高め(硬め) | ややマイルド(扱いやすい) |
打感 | 粘りとしなりが強い | 少し弾き感がある |
Dリミテッドの特性を好む人にとって、WBは比較的扱いやすい“マイルドな白マナ”として人気を集めつつあります。
合うヘッド
ディアマナDリミテッドは、そのしっかりした中元調子設計により、以下のような重心が浅め・低スピン系のヘッドとの相性が良いとされています。
相性の良い代表的ヘッド
- テーラーメイド SIM MAX・SIM2・ステルスシリーズ
- キャロウェイ MAVRIK SUB ZERO、ROGUE ST Triple Diamond
- スリクソン ZX5/ZX7
- タイトリスト TSR3
これらのヘッドは操作性と低スピン性能を持ち合わせており、Dリミテッドの特徴とマッチすることで、強弾道かつ方向性の安定したショットが可能になります。
一方で、スピンがもともと少ないプレイヤーや球が上がりにくいプレイヤーが、Dリミテッドと低スピンヘッドを組み合わせると、ドロップや球が浮かないリスクもあるため注意が必要です。
中古
ディアマナDリミテッドは2019年に登場したシャフトで、現在では新品の入手が困難なため、中古市場での流通が主となっています。三菱ケミカルのフラッグシップシリーズ「ディアマナ」の中でも、Dシリーズは手元剛性が高く操作性に優れたモデルであるため、今もなお根強い人気を保っています。とくに重量帯別に50g、60g、70g台が存在し、SやXといった硬さ違いも流通しているため、フィッティングの自由度が高い点も中古市場で選ばれる理由です。
中古価格帯と流通状況(2025年現在)
モデル | 状態 | 価格帯(参考) |
---|---|---|
50S | 良品 | 12,000〜18,000円 |
60S | 良品 | 14,000〜22,000円 |
70X | 美品 | 18,000〜25,000円 |
これらの価格は、中古ショップ、ネットオークション、フリマアプリ(ヤフオク・メルカリなど)で実際に確認された範囲であり、状態やスリーブの有無、グリップの種類などによって価格差が生じます。
購入時に注意すべきポイント
- スリーブの互換性:装着済スリーブが、自身のドライバーヘッドと一致しているか確認必須。テーラーメイド用なのか、キャロウェイ用なのかでそのまま使えるかが異なる。
- シャフトカットの有無:中古シャフトはチップカットやバットカットが施されている可能性があり、これにより振動数が本来より上がっていることがある。購入前に実測値や出品者の説明をチェック。
- リシャフト歴:スリーブ交換の履歴や何度も抜き差しされた形跡がある場合、シャフト本体へのダメージや劣化が懸念される。
また、シャフトのロゴの擦れや色落ち、グリップの摩耗具合などからも使用度合いがわかるため、写真をしっかり確認することが重要です。中古でも高品質なものは市場にすぐ出回る傾向があり、状態が良く人気フレックスの個体はすぐに売れることも多いです。購入を迷っている間に売れてしまうこともあるため、信頼できる店舗や販売者から見つけた場合は早めの判断が吉です。
ZFの違い
ディアマナZFは、Dリミテッドと同時期に発売された別ラインの中元調子モデルです。一見似たスペックを持つこの2つのシャフトですが、設計思想やフィーリングにおいて明確な違いが存在します。
基本スペックと設計の違い
モデル | 発売年 | 調子 | トルク | 特性 |
---|---|---|---|---|
Dリミテッド | 2019年 | 中元調子 | 低め | 粘りと剛性重視 |
ZF | 2019年 | 中元調子 | やや高め | しなりとスピード重視 |
ZFはDリミテッドに比べると少しマイルドで、振り抜きやすく、高弾道・やや多めのスピンを好むプレイヤーに合う設計です。Dリミテッドはより低スピン・低弾道で直進性を重視したモデルであり、切り返しでシャフトの“遊び”を排除したような硬派なフィーリングを持ちます。
フィーリング・挙動比較
- Dリミテッド:手元が非常に硬く感じられ、インパクト時にしなり戻りが少なく、インパクトロフトを一定に保ちやすい。方向性重視のゴルファーに最適。
- ZF:手元から中間にかけてしなりを感じやすく、インパクトでしっかりと走る。球を上げやすく、キャリーを出したいプレイヤー向け。
対象ユーザー層の違い
Dリミテッドは、ハードヒッターや球の曲がりを極力抑えたいゴルファーに適しており、競技志向のゴルファーに選ばれやすいです。一方、ZFは中上級者でも振りやすく、飛距離と球の上がりやすさを重視するプレイヤーからの支持が厚いです。
使用プロ
ディアマナDリミテッドは、発売当初からツアープロの使用も見られたシャフトで、特に男子プロを中心に一定の人気を誇りました。振動数が高く、シャフト剛性の高さから、安定した弾道を求めるプロに好まれた傾向があります。
使用実績のあるプロ(確認できた範囲)
- 金谷拓実プロ:アマチュア時代から三菱ケミカルのシャフトを愛用。Dリミテッドの60Xを使用していたラウンドも記録されています。
- 石川遼プロ:ディアマナシリーズの愛用者として知られ、Dリミテッドもテスト段階で何度か使用。ラウンド本戦での採用例は少ないものの、高剛性シャフトの特性を好む一人です。
- その他国内ツアー選手:具体名は非公開ながら、男子ツアー選手の間でDリミテッドの使用が報告されています。
ツアープロ使用時の特徴
- 特注設計の可能性:プロ仕様モデルは一般販売されているものと同一とは限らず、チップカットやバットカット、専用設計のシャフトも存在します。
- フィッティング重視:多くのプロは1〜2g単位、cpm単位で細かく調整を加えるため、アマチュアがプロと同じセッティングを真似しても必ずしも同じ結果にはなりません。
一般ゴルファーがプロの使用情報を参考にする際は、あくまで傾向や特性を見るに留め、自分のスイングに適したセッティングを優先することが大切です。
ディアマナDリミテッド振動数まとめ
ディアマナDリミテッドは、シリーズの中でも特に高剛性・高振動数設計が際立っており、ハードヒッターに強く支持されてきました。設計は「粘り強くしなるが、暴れない」がテーマで、手元から中間にかけて非常に高い剛性を持っています。
振動数の目安(実測値)
- 50S:約255cpm
- 60S:約265〜270cpm
- 60X:約275〜280cpm
- 70X:約285〜290cpm
この数値は、市販の振動数計で43.5インチ(バット未カット)の状態で計測されたもの。一般的なメーカー純正Sシャフト(240cpm前後)より20〜30cpm高く、打感と挙動はまったく異なります。
特徴的なポイント
- 左へのミスが減る:シャフトがしなりすぎないことで、フェースの過度なターンが抑制され、左への引っかけが軽減。
- 低スピン・中低弾道:バックスピンが減ることで、ランが出やすく、風に強い弾道が得られる。
- スイングテンポが安定:手元の剛性が高く切り返しでタイミングが取りやすいため、スイングリズムが崩れにくい。
総合評価とおすすめ層
このシャフトはスイングスピードが45m/s以上あり、球を抑えて運びたいゴルファーに最も適しています。逆に、力感の少ないスイングやスインガータイプには、硬さと粘りのあるこのシャフトは扱いにくく感じるかもしれません。自身のスイング傾向と照らし合わせ、慎重にフィッティングすることがこのシャフトの実力を引き出す鍵となります。