
近年のゴルフシャフト市場で注目されている「NS PRO 820GH」は、日本シャフト社が開発した軽量スチールモデルの中でも特に高い完成度を誇ります。
本記事では、820GHの詳細スペックから、実際の重量・評価、さらには同シリーズである1050GH、950GH、790GH、910GH、980GHとの比較まで、事実に基づいて徹底解説します。
また、Qi10レスキューとの相性や、ヘッドスピードが遅いプレーヤーに最適な組み合わせについても分析。820GHを検討中の方に、納得の選択材料を提供します。
記事の内容一覧
- NS PRO 820GHの重量
- 評価
- Qi10レスキュー
- 1050GHの評価
- NS PRO 820GHスペック
- 790GHと910GHと980GHのスペックと適正ヘッドスピード
- ヘッドスピードが遅い人に合うシャフト
- Qi10レスキューの番手は?
- 950GHの特徴
- NS PRO 820GHスペックまとめ
目次
NS PRO 820GH スペックを軸に見る軽量スチールの実力
「NS PRO 820GH」は、従来の850GHや950GHに比べて軽量化されつつも、スチールならではのしっかり感を保つことに成功しています。この記事では、まず820GHの重量やスペックを明確にし、シリーズ内での立ち位置を理解します。その上で、実際の評価や他モデルとの違いをデータで比較し、ヘッドスピードやプレースタイル別の適合性を解説します。さらに、Qi10レスキューとの組み合わせ事例も紹介し、クラブ選びの参考になる実践的な情報を提供します。
NSPRO820GHの重量
「NS PRO 820GH」は、軽量スチールシャフトの中でも特に“中軽量クラス”に分類されます。メーカーである日本シャフト株式会社(Nippon Shaft Co., Ltd.)の公表データによると、820GHの重量は以下のようになっています。
| フレックス | 重量(g) | トルク(°) | 調子 | 長さ(インチ) |
|---|---|---|---|---|
| R | 約84.5 | 2.1 | 中調子 | 39.0 |
| S | 約88.0 | 2.0 | 中調子 | 39.0 |
※数値はアイアン用(#5)の代表値。番手により多少の差があります。
軽量ながらしっかり感を残した設計
820GHは、従来モデルの「850GH」よりもさらに軽量化されていますが、カーボンのように柔らかすぎない点が大きな特徴です。
中調子設計により、スイングテンポが速すぎない一般的なアマチュアにも扱いやすく、スチール特有の方向安定性を維持しています。
従来モデルとの重量比較
| モデル名 | フレックスSの重量(g) | 特徴 |
|---|---|---|
| NS PRO 950GH | 約98 | 軽量スチールの定番モデル |
| NS PRO 850GH | 約91 | 950より軽く扱いやすい |
| NS PRO 820GH | 約88 | さらに軽く、操作性を向上 |
このように、820GHは850GHから約3g軽量化されており、軽量シャフトながらも打感と安定性を両立させています。
特に「ドライバーのヘッドスピードが38〜42m/s」程度のゴルファーにマッチしやすく、ミドルアイアンでもスムーズなスイングリズムが作れます。
どんなゴルファーに向いているか
- スチールシャフトの手応えは欲しいが、重さで疲れるのは避けたい人
- 軽量カーボンでは方向性が安定しないと感じる人
- アイアンショットで高さと飛距離のバランスを重視したい人
日本シャフトが長年積み重ねた製造技術により、820GHは軽量化しても“芯を感じる打感”を維持しています。
まさに「軽量スチールの完成形」と呼ばれるモデルです。
評価
「NS PRO 820GH」の実際の評価は、国内外で非常に高く、特にやさしさと安定性のバランスが評価ポイントとなっています。
使用者の実感(実測評価・試打レビューの傾向)
多くの試打評価(例:Golf Digest Online、みんゴル、MyGolfSpy日本版など)では次のような特徴が指摘されています。
- 「850GHより軽く感じるのに、振り抜きの安定感がある」
- 「中調子設計でタイミングが取りやすい」
- 「打感が柔らかく、スピン量が安定している」
- 「軽量でもスチールらしい打ちごたえがある」
これらは、ヘッドスピード40m/s前後の一般的なアマチュアゴルファーが試打した際に多く挙げる感想です。
性能面の評価
日本シャフト社の試験データやフィッティング結果によると、820GHは「飛距離」「方向安定性」「振り抜きやすさ」の3要素が高水準でバランスしています。
特にトルクが2.0〜2.1と適度に低く、余計なねじれを抑制しているため、アイアンショットの精度が高い点が特徴です。
| 評価項目 | 評価(5点満点) | 備考 |
|---|---|---|
| 振り抜きやすさ | 4.7 | 軽量ながら中調子設計 |
| 打感 | 4.5 | 柔らかく心地よい |
| 方向安定性 | 4.6 | トルク制御が優秀 |
| 距離性能 | 4.4 | 軽量化によるスイングスピード向上 |
| 総合満足度 | 4.6 | 初〜中級者に最適なバランス |
評価のまとめ
820GHは「軽くてやさしいが、頼りない感じがしない」という絶妙な特性で支持を集めています。
とくに950GHではやや重く、850GHでは軽すぎると感じる層に“ちょうど良い中間的存在”として定着。
国内ではミズノ、ダンロップ、キャロウェイ、テーラーメイドなどのメーカーでも採用実績があります。
Qi10レスキュー
テーラーメイドの「Qi10レスキュー」は、2024年に登場したQiシリーズのユーティリティモデルで、同社の最新テクノロジーを搭載したクラブとして高い評価を得ています。特に、NS PRO 820GHのような軽量スチールシャフトを装着することで、安定性と飛距離性能を両立させたクラブに仕上げることができます。まずQi10レスキュー自体の設計思想とスペックを整理し、そのうえで820GHとの組み合わせの実際的な効果を分析します。
Qi10レスキューは、カーボンクラウン構造と新しいインターナルストラクチャー設計によって低重心化を実現しており、ボールが上がりやすくミスヒット時の寛容性が高いモデルです。ヘッド素材はステンレススチールをベースとし、フェースには高強度のC300マレージング鋼を採用。フェースの反発性能を向上させつつ、スピンの安定性も確保しています。
このモデルは、従来のStealthレスキューに比べてスピン量がやや少なく、打ち出し角が高めになる傾向があります。つまり、820GHのように中調子で適度なキックを持つ軽量スチールと組み合わせると、方向安定性を維持しながらも、高弾道でキャリーを稼ぐセッティングが可能になります。特にヘッドスピード38〜42m/s程度のゴルファーにとっては、重量バランスの整ったアイアン感覚のユーティリティとして扱いやすくなる点が大きな利点です。
Qi10レスキューの代表的なスペックは以下の通りです。
| 番手 | ロフト角(°) | ライ角(°) | ヘッド体積(cc) | 標準クラブ長(inch) |
|---|---|---|---|---|
| 3U | 19 | 58.5 | 102 | 40.25 |
| 4U | 22 | 59 | 100 | 39.75 |
| 5U | 25 | 59.5 | 99 | 39.25 |
820GHのSフレックスを組み合わせた場合、総重量はおおよそ370〜385g前後となり、振り抜きやすくも安定した重量感を得られます。純正カーボンシャフトに比べて方向のバラツキが少なく、グリーンを狙うショットで精度が上がるという試打評価も多く報告されています。
また、820GHの中調子設計により、ヘッドの挙動が過剰に走りすぎず、安定した入射角を作ることが可能です。結果として、ミスヒット時でもキャリーのバラつきが少なく、飛距離ロスを抑える効果があります。特にロングアイアンの代替として4U・5Uを採用するゴルファーにとっては、コントロール性とやさしさのバランスが極めて良好です。
総合的に見ると、Qi10レスキューとNS PRO 820GHの組み合わせは「操作性と直進性のバランスを求めるゴルファー」に非常に適しています。高慣性モーメントヘッドと軽量スチールの安定性が融合することで、風の中でもラインを出しやすいショットが可能となります。
1050GHの評価
NS PRO 1050GHは、820GHよりも明確に重量が重く、クラシカルなスチールシャフトの特性を色濃く残したモデルです。メーカー公称重量はSフレックスで約106gと、820GHよりおよそ18g重い設定です。これはヘッドスピード43m/s以上の中〜上級者を想定したスペックで、820GHとはターゲット層が異なります。
評価面では、「粘りのあるしっかりとしたフィーリング」「低スピンで抑えた弾道」「重さによる安定したテンポ」といった特徴が挙げられます。スチールらしい重厚な打感を好むプレーヤーに支持される一方、体力的に振り切れないゴルファーにとっては疲れやすい面も指摘されています。
Golf Digest OnlineやMyGolfSpyの実測レビューでは、1050GHを装着したアイアンは平均キャリーが820GHより約3〜5ヤード短くなる傾向がありますが、その代わりに弾道の高さ・方向性のブレが少ないという結果が出ています。トルク値が約1.7〜1.8と小さいため、ヘッドのねじれを最小限に抑制。これにより、フェードやドローの打ち分けが明確にしやすく、コントロール重視のプレーヤーに適しています。
| 比較項目 | NS PRO 820GH | NS PRO 1050GH |
|---|---|---|
| 重量(S) | 約88g | 約106g |
| トルク | 2.0 | 1.8 |
| 調子 | 中調子 | 中元調子 |
| フィーリング | 軽快で振り抜きやすい | 粘り強く安定感がある |
| 推奨HS | 38〜42m/s | 43〜48m/s |
この表からもわかる通り、820GHと1050GHは性格がはっきり異なります。前者は扱いやすさ重視、後者は操作性と強弾道重視。
また、820GHの導入でスイングテンポが改善したというフィードバックも多く、軽量化によるミート率の向上が確認されています。
結論として、1050GHは上級者向けの安定志向モデルであり、820GHは幅広い層に対応できる軽量スチールの万能型といえます。両者を比較検討する際は、ヘッドスピード・スイングテンポ・体力の3要素を基準に選ぶのが最も合理的です。
NSPRO820GHスペック
NS PRO 820GHの正式なスペックは、日本シャフト公式カタログ(2024年版)に基づいて次のように公表されています。
中軽量スチールの代表格
| フレックス | シャフト重量 (g) | トルク (°) | 調子 | チップ径 (mm) | バット径 (mm) |
|---|---|---|---|---|---|
| R | 84.5 | 2.1 | 中 | 9.02 | 15.24 |
| S | 88.0 | 2.0 | 中 | 9.02 | 15.24 |
820GHは同社の定番950GHや850GHの系譜にあたり、軽量化と安定性を両立することを目的に設計されています。構造的には、シャフト中間部の剛性をやや高め、先端部の挙動を抑制することで、インパクト時のフェース角度を安定させる効果があります。これにより、スピン量が過剰にならず、高さと直進性を両立する中弾道を実現します。
素材は特殊スチール合金を採用し、各部位ごとに肉厚を変える「バリアブルウォール設計」を採用しています。この技術は、軽量化による剛性低下を抑え、インパクトの安定性を維持するために不可欠です。結果として、軽量モデルでありながら「頼りなさのないスチール感」を提供しています。
このモデルはミズノ、スリクソン、キャロウェイ、ブリヂストンなど、主要メーカーのアイアンセットにも採用実績があり、国内フィッティング市場では「中軽量スチールの代表格」として定着しています。
820GHの特徴をまとめると次の通りです。
- 軽量で振り抜きやすく、リズムが取りやすい
- 中調子設計でスイングテンポが安定
- インパクト時のブレが少なく、打ち出し角が一定
- 飛距離性能と方向性のバランスが優秀
- 幅広いレベルのゴルファーに適応
特に、軽量スチールを初めて使うゴルファーがスチール特有の打感に慣れるための入門モデルとしても適しています。
同時に、カーボンシャフトからステップアップしたいプレーヤーにもフィーリング的な違和感が少なく、移行がスムーズです。

790GHと910GHと980GHのスペックと適正ヘッドスピード
NS PROシリーズには、820GHを中心に「790GH」「910GH」「980GH」といった多彩な重量帯のラインナップが存在します。これらのモデルはすべて日本シャフト株式会社が製造するスチールシャフトで、プレーヤーのヘッドスピードやスイングテンポに合わせて最適な選択ができるよう設計されています。それぞれのモデルのスペックと特徴、そして推奨されるヘッドスピード域を明確に整理します。
まずは公式スペックを比較した表を示します。
| モデル名 | フレックス | 重量(g) | トルク(°) | 調子 | 推奨ヘッドスピード (m/s) |
|---|---|---|---|---|---|
| NS PRO 790GH | R | 約78.5 | 2.2 | 中 | 35〜39 |
| NS PRO 910GH | S | 約91.0 | 2.0 | 中 | 40〜44 |
| NS PRO 980GH | S | 約98.0 | 1.9 | 中元 | 43〜47 |
数値は日本シャフト公式資料および主要メーカー(ミズノ、スリクソン、キャロウェイ)のカタログデータに基づく平均値です。
790GH:シリーズ最軽量モデル
790GHはNS PROシリーズの中で最も軽いスチールシャフトです。重量は80gを下回り、カーボンに近い振り抜き感を得られるのが特徴です。トルクは2.2とやや大きめで、インパクト時にシャフトがしなり戻る感覚が強く出ます。これはヘッドスピードが35〜39m/s程度のプレーヤーに最適で、スイングテンポがゆったりしたゴルファーや女性ゴルファーにも扱いやすいモデルです。
また、軽量化によってクラブ全体のバランスを取りやすく、ロングアイアンでも自然にスイングスピードを上げられます。軽量スチールの入門としても人気があり、特に950GHを重く感じるプレーヤーのステップダウン先として選ばれることが多いモデルです。
910GH:操作性と安定感のバランス型
910GHは820GHよりわずかに重く、トルクを抑えた中調子設計で、方向性と操作性を両立させています。重量が約91gあるため、軽量過ぎる感覚を避けながらも、長時間プレーしても疲れにくいバランスを実現しています。
このモデルは、ヘッドスピード40〜44m/sのプレーヤーに最適で、820GHでは軽く感じるが1050GHでは重いという層にピッタリ当てはまります。実際にミズノやブリヂストンのカスタムオーダーでは、910GHを標準設定とするケースも多く、クラブメーカーからの信頼度が高いシャフトです。特に、打ち出し角を適度に抑えたいプレーヤーや、インパクトゾーンでフェースをコントロールしたい上級者にも好まれます。
試打レビューでは、「820GHよりも安定感があり、打ち出し方向がブレにくい」「弾道がやや低めで風に強い」という意見が多く見られます。つまり、910GHはコントロールと操作性を求める中級〜上級者に理想的な選択肢といえます。
980GH:スチールらしい重量感と粘り
980GHは、NS PROシリーズの中でもクラシックな重量帯を持つモデルです。Sフレックスで約98gと、950GHに近い重量ですが、設計思想は異なります。中元調子に設定されているため、切り返し時にシャフト全体が粘るような感覚を持ち、タイミングを取りやすいのが特徴です。トルクが1.9と小さく、フェースコントロールの正確性が非常に高いため、ショットの再現性に優れています。
ヘッドスピード43〜47m/s程度のゴルファーに適しており、スチールのしっかり感を好む上級者や、強弾道で低スピンを狙いたい競技志向のプレーヤーに向いています。980GHを使用すると、ボールの吹き上がりを抑えながら、前方向への伸びを感じる中弾道のショットを打つことができます。
シリーズ全体での位置づけ
820GHを中心に見た場合の位置づけを整理すると次のようになります。
| モデル | 軽さ | フィーリング | 向いている層 |
|---|---|---|---|
| 790GH | 非常に軽い | 軽快・柔らかい | ヘッドスピードが遅めの初級者・女性 |
| 820GH | 軽い | 軽快・安定 | 一般的なアマチュア層(38〜42m/s) |
| 910GH | 中軽量 | やや粘りあり | 中級者・安定重視タイプ |
| 980GH | 標準重量 | 粘り強く重厚 | 上級者・強弾道志向 |
この比較から分かるように、NS PROシリーズはわずかな重量差や剛性チューニングの違いによって、幅広い層のゴルファーに対応しています。
820GHはその中間に位置し、軽量スチールとして最も汎用性の高いモデルです。
プレーヤーが自分に合うシャフトを選ぶ際には、単純な重量だけでなく「スイングテンポ」「打ち出し角の傾向」「ミスの出方」も重要です。例えば、ボールが右へ出やすい人は910GHや980GHのようにトルクの少ないモデルを、逆に打ち出しが低くて伸びが足りない人は820GHや790GHを選ぶと改善しやすい傾向にあります。
このように、790GH・910GH・980GHの各モデルは820GHとの比較を通して、自分に最適なヘッドスピード域とスイング特性を明確に判断する手掛かりになります。
ヘッドスピードが遅い人に合うシャフト

ヘッドスピードが遅いゴルファーにとって、シャフト選びは飛距離と方向性を左右する最重要ポイントです。一般的に、ヘッドスピードが38m/s以下のプレーヤーは、軽量スチールまたはカーボン系シャフトを使用することで、効率よくボール初速を高められます。日本シャフトのNS PROシリーズでは「790GH」「820GH」がこの層に最も適しており、重量・調子・トルクすべてが軽量スイングに最適化されています。
軽量スチールシャフトが有利な理由
スチールシャフトはもともと剛性が高く、重くなりがちですが、NS PROシリーズの軽量モデル(790GH・820GH)は、内部肉厚を薄くし、先端剛性を緩めることでスイング負担を軽減しています。
この設計により、軽く振ってもヘッドスピードが出やすく、インパクトの再現性を保ちながら安定した弾道を得られます。
カーボンシャフトと比較した場合、スチールは「タイミングの取りやすさ」と「方向性の安定」が優れています。特に820GHは約84g前後の重量で、カーボンからスチールへの移行期にあるアマチュアゴルファーに最適といえます。軽すぎて手打ちになるリスクも少なく、自然なスイングテンポを作りやすい設計です。
ヘッドスピード別の適正シャフト目安
日本シャフトおよび主要メーカー(ミズノ、ブリヂストン、ダンロップ)のデータを基に、一般的な適正ヘッドスピードごとの推奨モデルを以下に示します。
| ヘッドスピード (m/s) | 推奨シャフトモデル | フレックス | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 33〜36 | NS PRO 790GH | R | 最軽量。軽快で高さが出る。 |
| 36〜40 | NS PRO 820GH | R〜S | 軽量スチールの標準。方向性と飛距離のバランス。 |
| 40〜43 | NS PRO 910GH | S | 中軽量。安定感とコントロール性重視。 |
| 43〜47 | NS PRO 980GH/1050GH | S〜X | 重量感と粘りで飛距離を最大化。 |
特に女性やシニア層では、ヘッドスピードが35m/s前後のプレーヤーが多く、790GHや820GHが圧倒的な支持を集めています。実際、国内フィッティングスタジオのデータでも、ヘッドスピードが37m/s未満のプレーヤーにおいて、820GH装着クラブの飛距離平均値が他の軽量スチールより約5ヤード向上する結果が報告されています。
振り抜きと弾道の関係
ヘッドスピードが遅い人ほど、重いシャフトでは切り返しの際に力負けしてフェースが開きやすくなります。結果、スライス傾向が強くなり、打ち出し角も低下します。
逆に軽量すぎるシャフトを選ぶと、スイングプレーンが安定せず、インパクト時のロフトが過剰に立ってしまうこともあるため、バランスの取れた「80〜85g前後」のシャフトが理想です。820GHはまさにそのゾーンを狙って開発されたモデルです。
また、軽量スチールシャフトは「弾道の高さ」を出しやすい傾向にあります。先端部がしなりやすい中調子設計により、ボールが自然に上がり、キャリーを伸ばしやすいのです。これにより、ヘッドスピードが遅いプレーヤーでも高弾道でグリーンを狙うことが可能になります。
カーボンシャフトとの比較
ヘッドスピードが極端に遅い(33m/s以下)プレーヤーの場合、スチールでも軽量モデルが難しい場合があります。その際は、グラファイトデザイン「Tour AD」やフジクラ「MCI」などの軽量カーボンシャフトも選択肢に入ります。
しかし、スチール特有の安定感や打感を求めるなら、820GHがベストな橋渡し的存在です。特にショートアイアンでの距離感を重視する場合、カーボンよりも安定した再現性が得られます。
フィッティングの重要性
ヘッドスピードが遅い人ほど、「振りやすさ」と「タイミングの取りやすさ」を優先して選ぶべきです。シャフト重量だけでなく、クラブ全体のバランス(D0〜C9程度)やグリップ重量の調整も結果に影響します。
試打の際は、ヘッドスピード・ボールスピード・打ち出し角・スピン量の4要素を計測できる計測器(例:TrackMan、GCQuad)を用い、自分のスイングテンポに最もマッチするモデルを選定するのが理想です。
まとめ
ヘッドスピードが遅いプレーヤーには、「軽量かつ柔らかめのスチールシャフト」が最も効果的です。中でもNS PRO 820GHは軽快な振り抜きと安定性のバランスが取れたモデルとして、アマチュアゴルファーの間で定番となっています。
体力や年齢に応じた最適な重量帯を選ぶことで、飛距離アップとミート率の安定を同時に実現できるでしょう。
Qi10レスキューの番手は?
テーラーメイドの「Qi10レスキュー」は、2024年に登場したQi10シリーズのユーティリティモデルであり、同社の長年の人気モデル「SIM」「Stealth」シリーズの後継として位置づけられています。このQi10レスキューは、寛容性と直進性を重視した設計で、番手構成も非常に細かくラインナップされています。
ここでは、Qi10レスキューの番手ごとのロフト角、ライ角、クラブ長、標準シャフト設定をもとに、どの番手を選ぶべきかを詳しく解説します。
Qi10レスキューの基本スペック一覧
テーラーメイド公式カタログ(2024年版)によると、Qi10レスキューは以下のような番手構成となっています。
| 番手 | ロフト角(°) | ライ角(°) | 長さ(インチ) | 標準シャフト | 推奨ヘッドスピード |
|---|---|---|---|---|---|
| #3 | 19 | 58.5 | 40.75 | TENSEI BLUE TM60 (S/R) | 約42〜46m/s |
| #4 | 22 | 59 | 40.25 | TENSEI BLUE TM60 (S/R) | 約40〜44m/s |
| #5 | 25 | 59.5 | 39.75 | TENSEI BLUE TM60 (S/R) | 約38〜42m/s |
| #6 | 28 | 60 | 39.25 | TENSEI BLUE TM60 (S/R) | 約36〜40m/s |
| #7 | 31 | 60.5 | 38.75 | TENSEI BLUE TM60 (R) | 約34〜38m/s |
このように、Qi10レスキューは#3〜#7までの5種類の番手を展開しています。ロフト角が3°刻みで設計されているため、アイアンセットとの繋がりを意識したロフトギャップを作りやすいのが特徴です。
各番手の飛距離目安と用途
Qi10レスキューの飛距離は、ヘッドスピードとロフト角の関係によって大きく変動しますが、以下のような一般的な目安が挙げられます。
| 番手 | 飛距離目安(男性/女性) | 対応アイアン相当 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| #3 | 200〜215y/170〜180y | 3I〜4I | ティーショット・ロングホールの2打目 |
| #4 | 185〜200y/160〜170y | 4I〜5I | セカンドショットの安定化 |
| #5 | 170〜185y/145〜160y | 5I〜6I | ミドルレンジでの攻め |
| #6 | 160〜170y/135〜150y | 6I〜7I | 高弾道・ピン狙い |
| #7 | 150〜160y/125〜140y | 7I〜8I | 高さ重視・グリーン止め狙い |
Qi10レスキューの設計は非常に高慣性モーメント(MOI)化されており、オフセンターヒット時でも方向性を維持しやすい特徴があります。特に#5〜#7の番手はフェース面積が広く、スイートエリアが大きいため、ミスに強い構造です。
番手選びのポイント
Qi10レスキューの番手選びで重要なのは、「アイアンとの飛距離ギャップを埋める」ことです。
例えば、7番アイアンで150ヤードを打つプレーヤーの場合、Qi10レスキューの#5または#4が適正距離を補う番手になります。
また、5番アイアンが苦手な人が#5レスキューに変更するケースも非常に多く見られます。これにより、打ち出し角が安定し、キャリーとランのバランスが取れたショットが可能になります。
ヘッドスピードが速めのプレーヤー(43m/s以上)は#3や#4を使用して、ロングレンジの攻めを安定化させるケースが多く、逆にヘッドスピードが遅め(38m/s以下)のプレーヤーには#5〜#7のほうが扱いやすい傾向にあります。
特に#6・#7は高弾道設計で、キャリー重視のプレーに最適です。
シャフトとの関係
Qi10レスキューの純正シャフト「TENSEI BLUE TM60」はカーボン系の軽量シャフトで、Sフレックスで約63g、Rフレックスで約60gの重量です。中調子設計により弾道の高さを出しやすく、軽量スチール(NS PRO 820GHなど)との組み合わせにも違和感が少ないフィーリングです。
このため、820GH装着のアイアンセットとQi10レスキューを組み合わせる場合、重量フローが自然で、スイングテンポを維持しやすくなります。
実戦での使い分け
Qi10レスキューは、番手ごとの弾道の高さが明確に分かれているため、複数本をバッグに入れるツアープロも多く存在します。
例えば、女子プロの稲見萌寧選手は#4と#5を併用しており、長距離のパー3やセカンドショットでの精度を高めています。
また、アマチュアでも#5と#6を組み合わせて「アイアンの代替クラブ」として使うケースが増えています。
まとめ
Qi10レスキューの番手は、3番から7番まで幅広く用意され、プレーヤーのヘッドスピードや求める弾道に応じて柔軟に選択できます。
ヘッドスピードが速いプレーヤーは#3〜#4、平均的なアマチュアは#5、ヘッドスピードが遅めのゴルファーは#6〜#7を選ぶと理想的な距離ギャップを埋められます。
特に820GHなど軽量スチールアイアンとの組み合わせでは、スイングリズムが崩れず、スコアメイクに直結する構成となるでしょう。
950GHの特徴
NS PRO 950GHは、日本シャフト株式会社が1999年に発表した軽量スチールシャフトの代名詞ともいえるモデルであり、長年にわたり国内外のゴルファーに愛用され続けています。登場当時、スチールシャフトの常識を覆す「95g台」という軽量化を実現したことで、アマチュア層を中心に爆発的な人気を博しました。現在でも「アイアンシャフトのスタンダード」として、多くのメーカーの純正採用モデルに搭載されています。
基本スペック
NS PRO 950GHの主要スペックを以下に示します(Sフレックスの代表値)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 重量 | 約98g(S)/約94g(R) |
| トルク | 1.9〜2.0° |
| 調子 | 中調子 |
| 素材 | スチール(高張力特殊鋼) |
| 推奨ヘッドスピード | 40〜46m/s |
この設計は、重量と剛性のバランスを最適化し、スイング全体のテンポを整えやすい構造になっています。軽量スチールの中でも適度な剛性を保っているため、飛距離性能と方向性の両立を実現しています。
軽量化のメリット
950GHが誕生した当時、スチールシャフトは120g以上が一般的でした。その中で、950GHの約95gという軽量化は画期的でした。
この軽量化により、アマチュアでもスイングスピードを上げやすく、結果としてボール初速が向上します。軽量カーボンに比べて方向性が安定し、振り抜きやすいのが大きな利点です。
現在の820GHや790GHなどの軽量モデルの原点は、この950GHの開発思想にあります。
また、軽量化と同時に「中調子」の設定により、スイング全体でしなりを感じられるよう設計されています。これにより、ダウンスイングでシャフトが適度にしなり戻り、インパクトでボールをつかまえやすくする効果があります。
しなり感と弾道性能
950GHの最大の特徴は、その「しなり感の自然さ」です。特にインパクト直前に感じる“粘り”が程よく、切り返しでタイミングを取りやすいという評価が多くの試打レビューで見られます。
弾道は中弾道〜やや高弾道で、飛距離性能とコントロール性のバランスが良い設計です。
軽量スチールでありながら、打点ブレに対して強く、芯を外したショットでも安定した距離を出せる点が高く評価されています。
特に、950GHは高慣性モーメント(MOI)を持つヘッドやポケットキャビティ構造のアイアンとの相性が良いとされています。柔らかめの挙動がヘッドの重心設計とマッチし、ボールの上がりやすさを補助します。
採用実績
NS PRO 950GHは国内外の主要メーカー(ミズノ、ブリヂストン、ダンロップ、キャロウェイ、テーラーメイドなど)の純正シャフトとして長年採用されています。
ミズノ「JPX」「MP」シリーズ、スリクソン「ZX」「Zフォージド」シリーズ、ブリヂストン「TOUR B」シリーズなど、幅広いクラブに搭載実績があり、現在でも「基準シャフト」として多くのフィッティングデータに使われています。
また、男子ツアーでもかつて多くの選手が950GHを使用しており、軽量スチールながらもツアーレベルの安定性を示していました。
近年では、後継モデルの「950GH neo」も登場し、やや低重心ヘッドとのマッチングを高めていますが、オリジナル950GHの評価は依然として高いままです。
他モデルとの比較
820GHや910GHと比較すると、950GHはやや重く、剛性も高いため、スイングテンポが速いゴルファーや中級〜上級者に向いています。
また、820GHに比べるとトルクが少ないため、インパクト時のフェースのブレが少なく、左右の方向性が安定します。
一方で、ヘッドスピードが遅いプレーヤーにとってはやや重く感じることもあり、近年は820GHや790GHへ移行する人も増えています。
| モデル名 | 重量 | 特徴 | 推奨レベル |
|---|---|---|---|
| 790GH | 約78g | 最軽量・柔らかい | 初級者・シニア |
| 820GH | 約84g | 軽快で安定 | 中級者・一般層 |
| 950GH | 約98g | バランス型・王道 | 中級〜上級者 |
| 1050GH | 約106g | 強弾道・低スピン | 上級者・競技志向 |
このように950GHは、スチールのしっかり感を残しながらも軽量化を実現した「中間点」に位置するモデルです。
現在でも多くのクラブメーカーが標準装着シャフトとして採用し続けている理由は、この万能性と完成度の高さにあります。
まとめ
NS PRO 950GHは、「軽量スチールの基準」と呼ばれるほど完成度が高く、飛距離・方向性・フィーリングのバランスに優れたモデルです。
軽量スチールに初めて移行するプレーヤーにも適しており、現在の820GHや1050GHなどの開発にもつながった“原点的存在”といえます。
ヘッドスピード40〜45m/s前後のゴルファーで、振り抜きやすさと安定感を両立したい人に最もおすすめのモデルです。
NS PRO 820GH スペックまとめ
NS PRO 820GHは、日本シャフトが2023年に発表した軽量スチールシャフトであり、同社の人気モデル「950GH」「850GH」などの系譜を受け継ぎながら、さらなる軽量化と安定性の両立を実現したモデルです。
820GHは「軽いけれど頼れるスチール」というコンセプトのもと開発され、特にヘッドスピードがやや遅めのアマチュアゴルファー層に非常に高い評価を得ています。ここでは、820GHのスペックを総括的に整理し、その性能と適正ゴルファー像を明確にします。
基本スペック一覧
まず、NS PRO 820GHの主要スペックを表にまとめます(Sフレックスを基準とした代表値)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 重量 | 約84.5g(S)/約81g(R) |
| トルク | 2.0〜2.1° |
| 調子 | 中調子 |
| 素材 | 特殊スチール(高強度合金) |
| 全長 | 37〜40インチ(番手別) |
| 推奨ヘッドスピード | 37〜42m/s |
このように、820GHは軽量スチールの中でも「中軽量帯」に分類されます。
820GHの設計では、先端剛性と手元剛性のバランスが極めて精密に調整されており、スイング中のシャフト挙動が滑らかで、ミート率の向上に直結する特徴があります。
特徴① 軽量と安定性の両立
820GH最大の特徴は、軽量でありながら“スチールらしい安定感”を失っていない点です。
軽量スチールは一般的にトルクが大きく、フェースの開閉が過剰になりやすい傾向がありますが、820GHは中調子設計によりトルクを適度に抑え、スイング中のシャフトのブレを抑制しています。
これにより、軽量スチールにありがちな「球が散る」「打点が安定しない」といった課題を大幅に軽減。
実際に国内主要メーカーのフィッティングデータでは、950GHから820GHに変更したプレーヤーの約70%が、方向性の改善と平均キャリー3〜5ヤードの伸びを確認しています。
特徴② スイングテンポを崩さない設計
820GHは手元剛性をやや高めに設定しており、切り返し時にしなりすぎる感覚が少ない点も特徴です。
これにより、スイングテンポが速めのプレーヤーでもリズムを崩さず、再現性の高いスイングが可能になります。
この特性は特に「打点がバラつく」「インパクトのタイミングが合わない」といった中級者にとって大きなメリットです。
特徴③ 弾道の高さとスピン量のバランス
820GHは中調子設計であるため、ボールの打ち出し角が自然に上がりやすく、キャリーを伸ばしやすい設計です。
一方で、過剰にスピンがかかることを抑制するため、インパクト時のエネルギー伝達効率が高く、風に負けにくい強弾道も実現。
この「高さと強さのバランス」が820GHの設計思想の中核であり、ヘッドスピードが38〜42m/sのプレーヤーに最も効果を発揮します。
特徴④ アイアンセットとのマッチング
820GHは、多くのクラブメーカーのアイアンセットで標準またはカスタム対応シャフトとして採用されています。
特に人気が高いのは、ミズノ「JPX923」、スリクソン「ZX5 Mk II」、ブリヂストン「TOUR B 222CB+」など。
これらのヘッドは高反発フェースや低重心設計を持ち、820GHの軽量・中調子設計と非常に高い相性を見せます。
試打データでは、同一ヘッドに950GHを装着した場合と比べ、820GH装着クラブの方が平均打ち出し角が約1.5°高く、総飛距離も約3〜6ヤード伸びる傾向が確認されています。
特徴⑤ 競合モデルとの比較
他社製軽量スチールと比較しても、820GHは「剛性バランス」と「振り抜きの軽さ」に優れています。
以下は代表的なモデルとの比較表です。
| モデル名 | 重量 | 調子 | 特徴 | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| NS PRO 820GH | 約84g | 中 | 振り抜き軽く安定性高い | 弾道バランス型 |
| DG 95 (TRUE TEMPER) | 約95g | 元 | 強弾道・低スピン | 打感しっかり |
| N.S.PRO 950GH | 約98g | 中 | バランス型・伝統モデル | 飛距離安定 |
| KBS TOUR LITE | 約95g | 中 | 軽量でも剛性高い | 操作性重視 |
この比較からもわかるように、820GHは「軽さ・高さ・安定性」を求めるアマチュア層において最もバランスが取れた選択肢といえます。
特徴⑥ フィッティング時のポイント
820GHを選ぶ際の重要なポイントは、自身のスイングテンポとヘッドスピードの把握です。
スイングテンポが速く、しなり量が多いと感じる人はSフレックス、ゆったりしたスイングでヘッドスピードが38m/s未満の人はRフレックスを推奨します。
また、クラブ全体のバランスをD0〜C9に調整すると、最も効率の良いスイングリズムを得やすくなります。
まとめ
NS PRO 820GHは、軽量スチールシャフトの中でも「飛距離性能」「方向性」「安定性」を高い次元で両立させたモデルです。
950GHの伝統を継承しつつ、より多くのアマチュアに扱いやすい重量設計を採用したことで、現在では多くのクラブメーカーが標準装着シャフトとして採用しています。
特にヘッドスピードが37〜42m/sのプレーヤーにとって、820GHは最も理想的な選択肢の一つです。
軽量スチールの完成形とも呼ばれるこのモデルは、スイングに無理なく自然に馴染み、長く使える信頼性の高いシャフトといえるでしょう。








